606.収益改善 粗利を増やす
2023年2月24日
収益改善するには、その前の条件整備として、次のことする必要があります。
1.収益改善の社員士気を高めるために、マズローの法則を活用すること。
2.高めた士気をより効果的に発揮させるために、選択と集中を考えること。
3.その選択を考える方法として、パレート分析をすること。
マズローと選択と集中・パレートによって、全員のやる気を高め、経営資源の再分配を行い、それらを集中させる対象を決める
ことが大切です。
また、収益改善の具体策も、次の3つの観点から考え、それらを組合わせて実行することが大切です。
1.資金の源泉ともいえる、売上高を増やすには?
2.自社の付加価値である、粗利益を増やすには?
3.次期の資金源泉である、繰越利益を増やすには?
今回は、その2番目である「粗利益の拡大政策」について、考えてみましょう。
1 粗利を増やすには原価率自体を下げる考え方と、売価を上げて原価率を落とす考え方がある
粗利とは、売上高から直接原価を差引いた、自社で原価の上に付けた価値です。そこで付加価値とも言います。
粗利である付加価値は、その意味で売上総利益と少し違いがあります。
売上総利益は売上高から会計上の売上原価を差引いた利益概念です。
具体的には、直接原価だけでなく、労務費や製造原価などの間接原価も差引したものになりますので、
いわゆる粗利である付加価値とは違ってきます。
このように粗利と売上総利益には違いがありますが、そのことは置いておいて、
粗利を増やすには「原価率自体を下げる考え方」と「販売価格を上げて原価率を落とす考え方」があります。
粗利を増やすには、原価率を下げる考え方と販売価格を上げる考え方がある!
特に、一般的には頭から販売価格を上げるなんて無理と考える方が多くいらっしゃいますが、意外とそうではないと
固定観念を払拭して考えることが大切です。
(1)原価率自体を下げて粗利を増やす考え方
原価率自体を下げるには、仕入先と交渉して仕入価格を下げることがまず考えられます。
しかしこれは相手があることですから、支払条件や購入数量などと組み合わせないと難しいことです。
しかしもう一つ、社内努力だけで実現する方法があります。
それは在庫管理をしっかり行って、ロスを出さないということです。
これは多くの企業でその努力の余地がある課題でもあります。
統計的に見ると、利益が上がらない企業の共通点は過剰在庫であり、不良在庫が多いということです。
もし、過剰在庫や不良在庫が無くなればそれだけ仕入が抑えられますので、原価率は下がることになります。
ぜひ、自社の在庫状況を実際に見てください。必ず、これまでの多くの不良在庫が目につくはずです。
原価率を下げるためには在庫の見直しが基本!
(2)販売価格を上げて結果として原価率を落とす考え方
この考え方の一番の妨げになっているのは、先ほども申しあげたとおり、思い込みです。
このご時世で、販売価格を上げるなんて、得意先の承諾が得られるはずがないという「思い込み」です。
確かに、ただ、翌月から販売価格を上げさせてくださいでは、承諾する得意先は少ないでしょう。
しかし、得意先が納得できる理由や承諾できる提案なりで、付加価値を付けた説明ができればそうとも限りません。
だからよく考えなければなりません、得意先が納得できる提案とは何なのか?と・・。
この姿勢が顧客満足度の向上にもつながるのです。
しかし、意外とこの努力をどこの企業もしていません。
正確に言えば、考えている企業は少しはあるかもわかりませんが、実行している企業はほぼありません。
これには原価はかかりません。諦めているばかりではなく、やってみましょう。
副産物として、得意先の本音(自社に対する評価)が聞けたり、ニーズが掴めたりもします。
ぜひ一度、得意先にとって付加価値のある話をもって、販売価格見直しの提案をトライしてみましょう。
まずは得意先のことを考える、そして商品・サービスを振り返りましょう!
必ず、このようにした方が、得意先には喜ばれるということが多くあるはずです。
なぜなら、完璧な商品やサービスはあり得ないからです。
2 付加価値とは
そこであらためて、「付加価値」というものについて考えてみましょう。
付加価値とは、他とは違う、何らかの独自の価値を商品やサービスなどにつけ加えることです。
ポイントは、他とは違う、他には無いということです。
つまり、付加価値とは、以前ブルーオーシャン戦略で説明した「バリュープロポジション」であり、「差別化」であるわけです。
たとえば最近、ファッション誌を見ると、ターゲット層に合った付録を付けています。
あるいは、生活雑貨であればありふれたデザイン性を高めて、少し高価格でも安価に感じさせるようにする。
これら、すべてが差別化ですが、私たちにももっと身近な、一見地味かもわかりませんが、差別化はできます。
(1)飲食店などで考えられる付加価値
飲食店には、実に多くの競合店や競合する業界があります。
そのなかで自店を選んでもらうためには、そのお店でなくてはならないという付加価値が必要となります。
食材の新鮮さや珍しさ、ほかにはない特別な素材、質の高さ、家庭ではできないプロの技術が必要な料理、変わった提供方法、
非日常的な空間づくり、特別な気分を味わってもらえる接客など、挙げればいろいろあります。
一般的な飲食店でいえば、特に必要なことは「看板メニュー」です。
他店との違い・印象・特徴をお客様に感じていただくことです。
飲食店では何かしらの「看板」を持つことが大事!
(2)サービス業で考えられる付加価値
ホテルなど宿泊・接客サービスであれば、接客サービス・清潔さ・調度品のキレイさあるいは立地条件などが、
その争点として考えられます。
多くのサービス業の中で一番わかりやすい差別化をしているのは、ディズニーランドです。
サービス業でもあり、エンターテインメント業でもあるディスニーランドは多くの産業界から注目されています。
その理由は、総コモディティ化の現代で、商品や単なるサービスだけでは競合他社との差別化ができないからです。
「お客様の顧客満足度で差別化を図らなくてはならない」と言われている所以です。
その意味でディズニーランドには多くの学ぶ点があると言われています。
世界から多くのゲスト(ディズニーではお客様のことをそう呼ぶ)が訪れ、多くがピーターとなっているディズニーランド、
その秘密はどこにあるのでしょうか?
それが、次の『ディズニー7つの法則』といわれるものです。
①同業他社だけが競争相手ではない →お客様に対する接客の仕方はすべての企業が競争相手
②小さな積み重ねが差別化につながる →何も特別なことをするのではなく、それよりも日常の積み重ねが大切
③社員全員がおもてなしの心を持つ →対象はお客様だけでない、業者などを含めたすべての人におもてなしの心を持つ
④すべてのものがおもてなしとなる →店舗だけでなく、オフィスや工場、玄関・トイレなど、
すべてがキレイで整理整頓されている、これもおもてなし
⑤お客様の声は全員が聞き共有する →取引先などの出入業者も含め、何気ない声も貴重な情報源になる
⑥衛生要因だけでなく動機付要因も大事 →社員のやる気は金銭だけではなく、やりがいも大切
⑦どの役割、どの社員も大切 →仕事にはいろいろ役割があるが、それに上下はなく、すべてが大事
これらはどれも当たり前のように聞こえますが、それをやっていますか、またできていますか、いろいろと考えさせられます。
ディズニーランドも当たり前のことをやっているだけで、私たちもにも大きな勇気を与えてくれます。
粗利を増やすためには在庫管理と付加価値を付けることが大切です!