614.Google Bard
2023年5月19日
前回は「チャットGPT」を紹介しましたが、今回はそのライバルとなりそうな「グーグルバード」です。
「グーグルバード」って、聞いたことのない方も多いかもわかりませんが、
あの検索エンジンのシェアナンバーワン企業、グーグル社が開発しているAIサービスです。
まだ開発途上ですが、今年2023年2月に発表されました。
グーグルバードは「Google Bard」と表記し、いわゆる鳥の「Bird」ではありません。
「Bard」とは、詩人ことであり、ユーザからの質問に対して、まるで詩人のごとく受け答えができるというネーミング
なのかもわかりません。 それはともかく、「グーグルバード」について紹介しましょう。
1 Google Bard(グーグルバード)とは
Google Bardとは、グーグル社が公開した対話型AIサービスです。
いま注目を集めている、Chat GPTと同様のサービスです。
対話型AIはヒトと話をするように、話の深掘りをすることができます。
質問の答えから、さらにその回答を踏まえた質問をできるわけです。
この点が、検索エンジンにはない大きな利点です。
なお、Google Bardは開発中のAIサービスなので、まだ質問できる範囲は限られているようです。
2 Google Bard公開の背景
なぜ、まだ開発途中なのにグーグルは発表したのか?
もうこれはご想像のとおり、Chat GPTにあります。
世界的に利用される対話型AIサービスとしてChat GPTがデファクトスタンダードにならないように
発表を早めたようです。
ですから、グーグル社のサービスは完成主義が多い中で、Google Bardだけはそうではなく、特異な存在です。
3 日本でもGoogle Bardのサービスが開始
もともと、つい最近までは、Google Bardのサービスは、日本では公開されていませんでした。
いまも大々的な告知されていませんが、利用はできるようになっています。
4 Google BardとChat GPTの違い
(1)採用言語モデル
言語モデルとは、質問や指示を理解する際や回答を生成する際に活用される技術のことをいいます。
Google Bardは、グーグル社自体が開発した「LaMDA」という大規模言語モデルがベースになっています。
独自の言語モデルを開発し、それを利用して文章を生成しています。
それに対してChat GPT は、Open AI社が開発した「GPT-3.5」や「GPT-4」という言語モデルが
採用されています。
文章生成に利用される言語モデルが違いますので、最終的に生成される文章に違いを生み出しています。
しかし、これらの言語モデルは、根本的にはグーグル社が開発した言語モデルですので、異なると言っても似ています。
(2)回答の生成に利用されるデータ鮮度
これは大きな違いがあります。
Google Bardは、検索エンジンを活用して、最新の情報を元にしています。
しかし一方、Chat GPT は2021年までの情報が中心です。
最新バージョンのChat GPTを利用すると、2022年の情報を学習していることもありますが、しかし限られています。
回答の生成に利用されているデータについては、Google Bardが大きく勝っています。
(3)有料版の有無
Google Bardは「無料」です。
しかし、Chat GPT には「無料版」と「有料版」があります。
Google Bardではすべての機能が無料であり、料金が発生する心配はありません。
そのため、Google Bardは機能が強化されても無料で利用できます。
しかし、Chat GPTは有料ユーザにならないと利用できないものがあります。
5 Google Bardの始め方・使い方
Google Bard 利用にあたっては、まず公式サイトにアクセスし、「waitlist」に登録することから始めます。
現時点では登録してすぐに利用できるのではなく、登録して順番待ちしなければなりません。
使い方は他の対話型AIと同じです。チャット欄に質問を入力するだけです。
6 日本語の対応
Google Bardが公開された当初は日本語対応されていませんでしたが、
2023年5月11日にアップデートがされ、日本語で質問したり、日本語で回答を生成するようになりました。
日本語に対する理解力は高く、一般的な用語であれば、ほぼ全て理解すると言われています。
また、生成した文章にも、不自然な日本語はないとも言われています。
ヒトと会話しているかのように、Google Bardと日本語で会話できるようです。
なお、Google Bard日本語版を使うには、あらかじめGoogleアカウントが必要です。
7 Google Bard利用上の注意点
(1)レスポンスがやや遅い
少しレスポンスが遅いと言われています。
Chat GPTはすぐ回答を生成し始めますが、それと比較するとやや遅いようです。
但し、これからスピードアップされると思われます。
(2)Google Bardも事実誤認はある
Chat GPTと同様、Google Bard にも事実誤認が生じる可能性はあります。
したがって「ファクトチェック」は必要です。
(3)長文には不向き
Google Bardは、全体的に、生成される文章が短文という特徴があります。
公式見解はありませんが、端的に答えることを目標にしているのかもわかりません。
たとえ、質問が長くとも、端的にまとめて回答してくれます。
したがって、Chat GPTのように論文生成や小説の生成などはできません。
OpenAI社やGoogle社などが競い合うことによって「技術革新」のスピードは早まりますので、
私たちが想像する以上に早く会話型AIとか生成型AIと言われるサービスが私たちの生活の中に定着するかもわかりません。