615.収益改善の方法①
2023年6月18日
再更新:2023.06.19
1 これから”企業倒産”が増大する?
(1)現在の状況
コロナ感染も不明瞭ではありますが風潮的には収まりつつあります。また、株価もバブル崩壊以後の最高高値を更新しています。
一見、経済は以前の状況に戻りつつあり、景気も期待できそうな様相ですが、果たしてどうなのでしょうか?
その一方では、コロナ禍は中国で再拡大しており、日本においても第9波が訪れるとも専門家の間では言われています。
コロナが5類に移行してからは感染状況が公開されていませんので、一般の私たちには判断がつきません。
したがって心の準備さえもできていない状況で、ある日突然に「第9波」が宣言され、またコロナ禍の社会情勢に戻るのかも
わかりません。
また株価も確かにバブル後の高値を更新したのでしょうが、いまや株価は海外機関投資家の動向に大きな影響を受けていますので、
決して日本経済の景気動向を反映しているとは言えません。
そのような状況の中で確かに言えることは、コロナ禍を経験して社会の行動様式はかなり変容しており、そのことが企業経営に
大きな変化と影響をもたらしているということです。
また、モラトリアム的な政策も終わり、多くの中小企業はこれから多額な借金返済に迫られ、倒産や廃業する企業が確実に増えて
くるということです。
そこで問題は、そのような中において、いま重要なことは「何であるか?」ということです。
それは「増収」ではなく、「増益」をさせて、『黒字経営』を維持・継続させることです。
『黒字経営』とは、日常の生活で説明すれば、毎月の収入の中で生活ができ、そして少しでも貯えができることをいいます。
したがって、『黒字経営』は事業を営む以上は、基本中の基本のことといえます。
(2)黒字経営の維持・継続
では、どのようにすれば、黒字経営を維持・継続できるのでしょうか?
論理的には、毎月の売上高の中で仕入など売上原価が賄え、その残りである売上総利益で人件費とその他の経費を賄い、
そこから借入金の支払利息などを支払い、経常利益を残すことです。
つまり、「売上高を増やす」「原価を抑える」「人件費とその他経費を抑える」という3つの手立てを考え、人・物・金を活かして
経営をしていくことにほかなりません。
そこで会計資料は売上から経常利益までの状況を損益計算書で提供し、物の運用状況は貸借対照表の総資産で提供し、さらに
金の調達状況は貸借対照表の総資本で提供していますので、会計を駆使して経営管理をすることが大事になってきます。
ただし、この中にはもっとも大切であり、お金ももっともかかる「人」の部分については、情報提供はされていません。
わずかに損益計算書の中で、人件費という項目で、給料などが把握・管理できるだけです。
物である資産を運用するのは「人」です。
金である総資本を調達するのも「人」です。
そして利益を生み出すのも「人」です。
そんなもっとも大事なところである「人」が、残念ながら会計では取り扱っていません。
したがって、企業は経営陣が人のマネジメントをする必要がありますが、中でも中小企業の場合は、経営者である社長が
「人」の部分のマネジメントを担うことが大切なのです。
中小企業にとって大企業へ脱皮することは非常に難しいことですが、採算に見合った経営をすることは大企業よりも簡単です。
そのためには、まず経営者である社長が姿勢を改め、少ない従業員さんとよくコミュニケーションをとることが大事です。
従業員さんと認識が共有できれば、収益拡大に大きな前進をしたと言えます。