616.収益改善の方法②

2023年6月24日

2 少ない従業員の士気を高めよう

(1)中小企業にとって一人一人の従業員が一番の経営資源

 黒字経営を維持継続するためには、物を運用したり金を調達する「人」が大事であることを前回説明しました。

しかしならが、会計では「人」に関する情報はほとんどないことも説明しました。

したがって経営者である社長は積極的に従業員とコミュニケーションをとり、社長の専任事項として「人」に関するマネジメントを

行うことが大切であることも説明しました。

 そのマネジメントの中でも一番の課題は、どうやって従業員の『士気』を高めるかということです。

士気を高めるにはいろいろな方法があると思いますが、その一般的な共通事項は次のようにまとめられます。

1.社長自らの経営方針を示す。

2.社長から従業員との信頼関係を築く。 ※これは中小企業だからこそできる中小企業の強みでです!

3.従業員の給料を少しでも上げる努力をする。

社会がいくら発展しようとも企業はすべて人が動かしている!

 

(2)「社長自らの経営方針を示す」とは

 社長自らの経営方針を示すとは、借り物ではない、社長の言葉としての「経営方針」を示すということです。

経営方針の中では、顧客のためにどうするとか、会社を維持するためや社会貢献のためにどうするかなどはよく書かれていますが、

肝心の一番大事なことは、従業員に対してどうするかという、従業員に対する約束です。

 経営者と従業員は違います。

社長はやりたいことがあって意欲をもって自ら事業を起こしたわけですが、従業員は社会人として独立するために入社したのです。

そこのところを同じように捉えて従業員に求め、従業員に不服を持っている社長がなんと多いことか!

それが中小企業の現状です。

したがって、会社の為、顧客の為、社会の為、頑張れば従業員はどうなるのか!?そこを経営方針の中で触れるべきだと思います。

経営方針で一番大切なことは従業員に対する約束!

 

(3)「社長から従業員との信頼関係を築く」とは

 社長から従業員との信頼関係を築くとは、社長から積極的に従業員とコミュニケーションを取るということです。

従業員はオーナーである社長に雇用されているのですから、そこに「壁」があるのは当たり前です。

 そんな状況で「なんでも私に相談してください」などといっても、それは無理なことなのです。

したがって、社長の方から、積極的に従業員に話しかける努力をする必要があるわけです。

挨拶も従業員からするのではなく、社長から先に挨拶をするという気持ちを持ちたいものです。

従業員と社長に「壁」があるのは当たり前、それを低くするのは社長の役目!

 

(4)「従業員の給料を少しでも上げる努力をする」とは

 従業員の給料を少しでも上げる努力をするとは、文字通り、常に給料を上げる努力をするということです。

給料は、従業員の社会・家庭内のプライドであり、仕事に対する能動的な姿勢を育みます。

 少しでも安い給料でなんていう意識は、もう何十年も前の高度成長期時代の意識です。

また、そうはいってもそんな給料は出せないという理由も経営者としての甘えです。

もしそうであるならば、その問題を一人で抱えずに、従業員も巻き込んで、全員で改善していくべきです。

 いまは生産労働人口の減少化で「人手不足の時代」とも言われ、人件費を高くしないとやっていけないと言われていますが、

本当は「人手がない時代」なのです。

そう考えると、そもそも同じことを同じ人数でやろうとしていること自体に「間違い」があるのです。

これからは、もっとも採算性が良く、将来性がある分野に絞り、いまより少ない人数でもできる企業にするという発想の切り替えが

必要というです。

給料は従業員の社会と家庭内におけるプライドであり、仕事に対する能動的な姿勢を育む!

 

 

中小企業にとって大企業へ脱皮することは非常に難しいことですが、採算に見合った経営をすることは大企業よりも簡単です。

そのためには、まず経営者である社長が姿勢を改め、少ない従業員さんとよくコミュニケーションをとることが大事です。

従業員さんと認識が共有できれば、収益拡大に大きな前進をしたと言えます