618.収益改善の方法④
2023年7月9日
収益改善をしていくためには、たとえ少数であっても人心を刷新し、現状分析を行うことが大切であると説明してきました。
その次のステップはいよいよ『戦略・戦術』の立案です。
戦略・戦術の考え方についてもいろいろな手法がありますが、今回は基本的な戦略・戦術の考え方を実務的に紹介します。
4 収益改善をための戦略・戦術の考え方
(1)市場浸透戦略
企業の収益源には「顧客」と「商品・サービス」という両面があります。
大事なことは常に『最適解』を求める姿勢を持つということでです。
つまり、いまの顧客に対していまの商品・サービスをどのように見せる・提案すればもっと利用いただけるかという問題意識を
常に持つということです。
それらを通じて、いま顧客に対していまの商品・サービスの浸透をさらに図ることです。
このことを『市場浸透戦略』と呼びます。
この現在の市場に対して、現在の商品・サービスの浸透をさらに図るという課題で、多くの企業でできてないことは、
実は「当たり前のことができていない」ということです。
たとえば、問い合わせへの対応、見積書などの提出、納期期限の順守など、出来て当たり前のことが不思議なことに
多くの中小企業でできていません。
注文いただければ「ありがとうございました」という御礼、入金いただければ「ありがとうございました」という感謝など含め、
当たり前のことが驚くほどできていません。
問合せがあれば、顧客がシビレが切れないあいだに連絡する、そうできない場合にはいつ頃になりそうか事前連絡をする。
見積書であれば、遅滞なく提出する、提出したならタイミングを計って「いかがですか」とお伺いする。
これら、当たり前のことなのですが、多くの中小企業ではできていません。
まずこれらのことを確実に実践することだけで、意外と差別化や信用につながったりします。
そんな経験はあなたもありませんでしたか? 問合せしたけれど全然連絡がない!
さらにできていないことは、お客さまに「提案」することです。
提案というと大げさに聞こえますが、こんなことにも使えます、こんな風にお考えになればいかがでしょうか、ということです。
従来の商品・サービスであっても、提案の仕方や説明の仕方を変えてみると、いままでお使いいただけなかったものがお使いいた
だけるようになるので不思議なものです。
つまり、現在のお客さまに満足をいただけていないようでは新しい商品を出しても購入していただけませんし、
まして新しい顧客を開拓しようなんてこともできません。
まずは『市場浸透戦略』によって今のお客さまに満足いただく!もっと購入をしていただく! これが一番の収益改善の方法です。
そのことが実は、次の『新商品開発戦略』や『新市場開拓戦略』へと自然に結びついていくのです。
今のお客さまへの対応改善することがすべての始まり!
(2)新商品開発戦略
新商品というと、デザインや機能がグレードアップされた製品を作るとか、商品を取り扱うことというような気もしますが、
ここでいう新商品あるいは新サービスとは、もちろんそうであってもいいわけですが、もっと広い概念で使われています。
今までと同じ商品だけれど、キャッチコピーなどを変えて新しい見せ方をするとか、新しい用途を提案することなども含まれます。
あるいは商品レイアウトや店舗イメージ、梱包などを変えて、新しいイメージを提供することなども含まれます。
したがって、販売やサービスを携わる業種であっても新商品開発はできるのです。
いままで売れていなかったけれど、使用価値を変えたら売れるようなったという話はよく聞くものです。
『新商品開発戦略』はそんな広くとらえて考えます。
既存商品の使用価値を変えることも新商品開発です!
(3)新市場開発戦略
新市場開発戦略も同じです。
文字面だけをとらえると、とても中小企業にはできない戦略のように思われがちですが、肩の力を抜いて考えてみましょう。
そのためには、今の客層や販路をよく観察しておく必要があります。
たとえば、商品購入の意思決定は誰がしていますか?
意外とお子さんであったり、祖父母であったり、あるいは担当者ではなく上司であったり、よく観察する姿勢を持つと
思い込みと違う場合があります。
それによって品揃えを変えたり、パッケージなどを変えたり、あるいは訴求の相手を変えたりすることで
新しい市場開発に結びつくことがよくあります。
また販路にもインターネットの社会への浸透度の深まりとともに、さまざまなものがあります。
既存のネットショップサービスを活用したり、独自ネットショップを立ち上げたり、あるいはインターネット広告も利用したり
など、以前と比較すればはるかに新しい販路開拓ができるようになっています。
新市場開発にインターネットの活用は避けられない!
(4)競争軸を変える
最後に『競争軸』を変えることもたいへん有効です。
現在は成熟社会ですから『差別化』が大事です。たとえば、飲食店であれば「看板メニュー」などがそれにあたります。
そこで差別化の要諦は、従来の競争軸と競争する軸を変えることが重要なのです。
日本の社会は、だれでも顧客ニーズを同じように捉え、同じような商品・サービスを提供しがちです。
なぜなら、その方が安心だからです。
したがって、結局は争点が同じなので競争が厳しくなり、やがて「価格」にしか競い合うところがなくなってしまうわけです。
そうすると、大手が勝ち残り、家族経営の零細な企業が生き残る構図となってしまいます。
そこで、不安にはなるかもしれませんが、競争軸を別のところに置き、ブルーオーシャンを目指すという考え方です。
この業界は顧客ニーズをどう捉え、何を提供しているのかを考え、それを少し外します。
たとえば1000円理髪は、いろいろな顧客ニーズはあるのでしょうけれど、カットと時間に特化した結果、設備投資も少なく済み、
低価格と短時間を実現し、それでも収益が出るようにしました。
そんな考え方が『競争軸』を変えるということです。
中小企業にとって大企業へ脱皮することは難しいことですが、採算に見合った経営をすることは大企業よりも簡単です。
そのためには、まず経営者である社長が姿勢を改め、少人数でも従業員とよくコミュニケーションをとることが大事です。
従業員との認識が共有できれば、収益改善に大きく前進をしたと言えます。
※各経営戦略についてより詳しく知りたい方は「インプルリポートの検索」で『戦略』等を検索されればご覧いただけます。