661.2024年6月開始『定額減税』
2024年6月7日
この2024年6月から『定額減税』が実施される。
2024年度の税制改正に伴って、6月から所得税と住民税を合わせて、「合計4万円」の”定額減税”が実施される。
今回はこの『定額減税』について紹介する。
1 定額減税の概要
(1)開始月は? 2024年6月から
(2)定額減税額は? 「所得税3万円」と「住民税1万円」の「合計4万円」
(3)対象者は? 所得が1805万円(給与収入のみであれば2000万円)以下で、かつ国内居住者
定額減税は、国内居住者で、年間所得が1805万円(給与収入のみは2000万円)以下の人に実施されるので、
その家族構成が4名の場合は、4万円×4名分=16万円となる。
2 定額減税の方法
(1)住民税
①2024年6月分の特別徴収を行われない。
②2024年7月分から2025年5月分までの11カ月間で、1年間の住民税から定額減税1万円分を減算し、
それを11等分して、7月分から特別徴収する。
それによって、7月分から翌年5月分までの11カ月間に特別徴収される住民税は、人によっては増額された感じがする場合も
起こり得る。
③たとえば、住民税が毎月15,000円で、独身の場合
6月の住民税は0円となり、
7月から翌年5月までは「15,000円×12カ月=180,000円ー定額減税10,000円=170,000円
÷11カ月≒15,454円」となり、7月分からは従来の15,000円と比べると、454円増えた気分になる。
(2)所得税
①所得税減税は住民税減税とは違い、6月分から減税額3万円に達するまで、源泉所得税から減額する。
②たとえば、源泉所得税が「月額6,600円」の単身の場合は、以下のようになる。
6月分~9月分の給与に対する源泉所得税「6,600円/月×4カ月分=26,400円」と、30,000円以内ので
源泉所得税は0円となる。
10月分給与の源泉所得税は残りの3,600円を減税した3,000円が源泉所得税額となる。
つまり、合計30,000円の減税額に達するまでは、給与・賞与の源泉徴収を行わない。
③定額減税額が年内の源泉所得税から引ききれなかった場合は「調整給付金」を実施する。
調整給付の支給対象者には、給付金額を記載した通知が、後日自治体より郵送されて来る。
④減税額の控除が終わったあとは、通常どおりの源泉徴収が行われる。
上記の例では、10月分で定額減税の残り3,000円が源泉徴収され、11月分からは通常どおりの6,600円が源泉徴収
されることになる。
⑤なお、6月~8月分の給与支給の間に夏季賞与が支給されれば、賞与の源泉所得税からも減税する。
つまり、6月以降支給の給与・賞与に対して、支給日が早いものから順に、その源泉所得税から減税されることになる。
(3)定額減税の周知義務
定額減税額を控除した場合には、実際に控除した金額を「定額減税額(所得税)〇〇〇円」とか「定額減税〇〇〇円」などと
給与明細書に記載することが義務付けられていることに注意したい。
3 年調調整について
年末調整の源泉徴収票には実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額〇〇円」などと、
摘要欄に記載するように求められている。
4 最後に なぜ、定額減税?
減税の方法には、定率減税と定額減税がある。
定率減税とは、所得の額に対して同じ減税率を掛けて、減税する方法だ。
仮に定率減税率10%であれば、所得20万円の人は2万円の減税、所得100万円の人は10万円の減税となる。
したがって、所得の多い人ほど減税額は大きくなる。
一方、定額減税は、所得の額に関係なく、同じ減税額を所得税から差し引いて、税負担を軽減する減税の考え方だ。
したがって、4万円の定額減税であれば、納税額6万円の人は2万円となり「納税額が半分以下になった」という感覚になる。
一方、納税額100万円の人は納税額が96万円となるので、あまり変わらないので、それほど減税されたとは感じにくい。
このように定率減税とは違い、定額減税には「低所得者の減税効果がより大きく感じられる減税方法」と言える。
今回、政府が減税を行う目的は、「物価高によって厳しい家計状況にある生活者を支援する」ことだと言われている。
したがって、今回は、低所得者により効果がある『定額減税』で実施されることになったということだ。