678.今月から社会保険加入が拡大!
2024年10月4日
今月(令和6年10月)から「社会保険特定適用事業所」が拡大されます!
今年も10月になりましたが、
今月から「特定適用事業所の範囲」が101人以上の事業所から51人以上の事業所に拡大されています。
令和6年10月から「特定適用事業所」が
被保険者常時100名以上から51名以上の事業所に拡大されている!
これに伴って被保険者が常時51名以上いる事業所は、
勤務されて短時間労働者すべての人々に、健康保険と厚生金保険に加入させなければなりません。
したがって、被保険者が常時51名以上いる事業所の場合は、届書の準備を行うとともに、社内周知を行う必要があります。
1 健康保険と厚生年金保険に加入しなければならない短時間労働者とは?
今回、社会保険に加入することになる短時間労働者の条件は次のとおりです。
①週所定労働時間が20時間以上の短時間労働者
②所定内賃金が月額8.8万円以上の短時間労働者
③2カ月を超える雇用見込がある短時間労働者
この条件を満たし、かつ学生でなければ、全員、社会保険に加入することになります。
週20時間以上働き、賃金が8万8千円以上あり、2カ月を超えて働く短時間労働者は
学生でなければ、全員『社会保険に加入』しなければならない!
2 これからの日本年金機構からの通知とその対応の流れ
(1)令和6年10月時点で、特定適用事業所に該当している事業所の場合
①9月上旬迄に、日本年金機構から、「特定適用事業所該当の事前お知らせ」が届いているはずです。
②10月初旬には、日本年金機構から、「特定適用事業所該当通知書」が届きます。
③10月分の給料から、本人負担分の社会保険料の預り処理をしなくてはなりません。
④10月分より、本人負担分と会社負担分である法定福利費の社会保険料を、日本年金機構へ納付します。
(2)令和6年10月以降に、特定適用事業所に該当する可能性がある事業所の場合
①9月以降毎月上旬に、日本年金機構から「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」が届くようになります。
②10月以降該当するようになった場合は、日本年金機構へ、「特定適用事業所該当届」を提出します。
③以後、給料から本人負担分の社会保険料を預かり、本人負担分と会社負担分である法定福利費の社会保険料を
日本年金機構へ納付します。
3.予想される経営に対する影響
(1)該当する短時間労働者からの不満
該当する短時間労働者はこれまでの手取りから社会保険料分が差引されますので、手取りが減額することになります。
しかし、これは半分誤解であって、ただ減るのではなく、将来受け取る年金などへ回しているだけです。
しかも、同額を会社から支援も受けているわけです。
事業所としては、このことをしっかり該当する従業員に対して説明することが大切です。
とはいえ、物価が上昇している折り、少ない手取りから社会保険料が減額されることは従業員にとっては痛手かもわかりません。
そこで会社としては、実情に合わせていくらかを昇給という形で応援することも検討することも大事なことです。
経営的には不満を解消するとともに、従業員のヤル気を向上させ、経営の高付加価値化への一手とすることが経営手腕としても
求められています。
不満不安の解消とヤル気の向上とを連動させる経営手腕が求められている!
(2)社外流出する資金が多くなる
ざっくり試算すると、該当する従業員の支給額の15%~20%程度の資金を会社として、社会保険料として納付しなければ
なりません。
社外流出資金は該当する従業員の支給額の15%から20%程度が増えることになる!
短時間労働者を雇用している理由として、必要な時間に必要な人員を確保することにありますので、この負担額は決して楽な
金額ではないと思われます。
また今回の適用拡大の背景には、労働者の将来生活費を確保することにありますので、この適用拡大はどんどん拡がることが
容易に想像されますので、被保険者が常時50名以下の事業所にとっても他人事ではありません。
そうなると規模を問わず、生産性向上に努め、今までよりの高付加価値経営にすることが経営課題として浮かび上がって来ます。
人を雇用する以上、小さな事業でも生産性向上と高付加価値経営が課題となる!
(3)黒字経営に対するハードルが高まる
社会保険の加入者が増えてきますので、それだけ人件費が増えることになり、固定費の増大化につながって、黒字経営に対する
ハードルを上げることになります。
黒字経営が出来なくなるということは赤字経営に転落することを意味し、赤字経営とは費用持ち出し経営になりますので、
ますます資金繰りは厳しくなり、それが続くと事業を継続できなくなります。
したがって、今後は安易に人を雇用するのではなく、少人数による高効率経営を志向することが重要になってくる。
これからは少人数による高効率経営と高付加価値経営が重要となる!
やはり、企業規模はどうであれ、これからはますます高効率経営と高付加経営が大切になって来るようです。
そのためには、どんぶり勘定や勘に頼った経営などは通じなくなります。
会計に基づいた、科学的経営が企業規模に問わず、重要になります。