688.経営を高めるマーケティング④
2024年12月13日
前回はブルーオーシャン戦略の『バリュープロポジション』について紹介をしました。
今回はバリュープロポジションを考えるに役立つツール『戦略キャンパス」を紹介します
なお、ブルーオーシャン戦略というと、難しい横文字だけに(?)、大企業の経営戦略だと思われているかもわかりませんが、
それは大きな誤解です。ブルーオーシャン戦略を実行するに適しているのは、中小零細企業なのです。
なぜなら、議論はまとまりやすく、実行もすぐでき、状況次第では簡単に修正も出来ますので、ブルーオーシャンに辿り着く確率は
高いといわれています。
ぜひ、ブルーオーシャン戦略を経営に取り組みましょう。すると毎日が楽しくなってきますよ。
1 戦略キャンパスとは
戦略キャンパスとは、バリュープロポジションを考えるためのワークシートです。
下図のように、ヨコ軸に「価値要素」を取り、タテ軸に「魅力度とか顧客評価」を取ります。
各価値要素の点を結び合わせた折れ線が、競合他社と異なる場合、その魅力度が高いのか低いのかを示します。
魅力度が他社のサービスに対して高ければ高いほど、優れたバリュープロポジションになる可能性を秘めています。
《戦略キャンパス》
たとえば、会計事務所を例に考えてみましょう。
一般的に、会計事務所はどこも同じで、決算を組み、申告をしてくれるだけと見えているのかもわかりません。
会計事務所業界としてはそこに大きな問題があり、一部の会計事務所では低料金化を打ち出し、そこに新しい価値サービスを
見出し、低価格戦略を打ち出しています。
しかしこの考え方は、バリュープロポジションではなく、バリューを提案しないで、コストを提案しているだけですから、
やがて自分で自分の首を絞めるブルーオーシャン戦略とは真逆のレッドオーシャン戦略をとっていることになります。
価格競争はレッドオーシャンに突き進む方策です!
一方、ある会計事務所では、実際の顧問先に訪れるのはほとんどが税理士資格を有さない事務員であることに目を付け、
有資格者を派遣することを志向しているところもあります。
ただ問題は、税理士資格が企業経営においてどれだけの価値を生むことができるのかいうことです。
そこには人件費と報酬のバランスという課題がありますが、そこを解決できれば大きなバリュープロポジションとなり得ます。
このようにブルーオーシャン戦略のバリュープロポジションは、新たな価値を提案し、いまの競争の枠に入らず、
新しいサービス軸や価値軸でお客様に提案しようとするものです。
あるいはまだ中小零細企業の赤字割合は6割を超えていますが、当事務所に依頼していただければ、黒字経営に持っていき、
経営改善を計りながら、健全な経営状況にしますなどという業績改善指導をコンセプトに考えると、下図のような戦略キャンパスが
描くことができます。
《業績改善指導をコンセプトにした「会計事務所戦略キャンパス」の例》
新しい価値要素として「価格」も重要な要素ではありますが、問題はその適正性です。
一般的に販売価格は「販売目標金額÷販売目標数」によって決まりますが、もう少し緻密に考えると「粗利単価=目標粗利額÷販売
目標数」であり、粗利単価を粗利率で割り戻すと販売単価となります。
この戦略キャンパスで、この販売単価でこの販売目標数が達成できるのか、吟味することも大切なことです。
戦略キャンパスを考えるにあたって、理論どおりに手順を踏むとか、そんなことはあまり重要ではありません。
大事なことは「当社も業界の慣習やこれまでの経験に囚われずに新しい発想で他がやっていないことをやってみる」という
マインドです。
私たちは想像以上に思い込みの中で活動しており、他と違うことをやることを避け、同じような思考の中で同じようなことを
やり続けることに安心感を覚え、挙句の果てに低価格化や高コストをかけてコスト回収ができないなどという悪循環の中にいます。
戦略キャンパスでオンリーワンの世界を目指そう!