697.事業の方向を探る 3C(顧客・競合・自社)分析
2025年3月7日
今回の『3C分析』とは、顧客・競合店・自社内部から、業界における自社の環境分析を行う分析手法です。
1 3C分析フレームワーク
3C分析は経営環境を分析する際のフレームワークとなります。
具体的には、Customer(市場・顧客)の分析、Competitor(競合)の分析、Company(自社)の分析、この3つの観点から
自社の業界における分析をすることで、経営環境を漏れなく把握することが可能となります。
このカスタマー、コンペティター、カンパニーの3つの頭文字をとって『3C分析』と呼びます。
《「3C分析」イメージ図》

2 3C分析の詳細
(1)Customer:市場環境・顧客
自社の市場環境や顧客を分析して把握すべき項目としては、次のようなものが挙げられます。
①業界の市場規模
②市場の成長性
③顧客ニーズ
④顧客の消費行動・購買行動
属する業界のトレンドや顧客特性などについて考えるということです。
(2)Competitor:競合環境
自社の競合店を分析して把握すべき項目としては、次のようなものが挙げられます。
①競合の現状シェアと推移
②競合の特徴(採用している戦略や保有リソースなど)
③競合の業界や自社の市場におけるポジション
④新規参入のしやすさや代替品の脅威
⑤自社が注意すべき競合の特徴(主要顧客層や商品特性が似ているなど)
⑥自社が注意すべき競合企業の今後想定される行動(自社に影響がある対抗戦略など)
競合としては、同業を営む店だけではなく、参入障壁の高低や代替品なども考えられます。
ファイブフォース分析を参考にするとよいかと思います。
(3)Company:自社環境
自社を分析して把握すべき項目としては、次のようなものが挙げられます。
①自社の企業理念やビジョン →全員が納得いくものか、やる気が出るものかなどを検討
②既存事業や自社商品・製品・サービスの現状 →売上状況やシェア状況、さらには商品ラインナップや戦略戦術など
③既存ビジネスの特徴や強み・弱み
④ヒト・モノ・カネの現有リソース状況や強み・弱み →ハフル分析を思い出す
⑤自社の資本力や投資能力
この中で長期的な経営資産となる人材の士気やモラール向上のためには企業理念やビジョンを検証することが大切です。
事業は経営者が一人で立ち上げて始まりますので、当初は経営者さえ納得できる経営理念やビジョンでいいのですが、
やがて従業員を雇用し出すと自分だけの納得感だけでは経営理念やビジョンは成り立たなくなります。
「社是」と言われるものは不変であっても良いと思われますが、「経営理念」や「ビジョン」はその時々の企業規模などで
変化させていってもまったくおかしくはないものであり、むしろ変えて行くことは進化させているとも考えられます。
そういう意味では、経営理念やビジョンは変えて行くものだといえるかもわかりません。
3 3C分析の進め方
3C分析は自社を取り巻く業界環境を整理するために有効なフレームワークであり、シンプルでわかりやすいものです。
したがって、定期的に行い、社内共通言語として定着させやすいものとも言えます。
(1)事実を集める
3C分析は事実を集めることが大切です。
集めた事実に対する解釈には『SWOT分析』で行うと良いと思われます。
3C分析で集めた情報を分析するために、「事実」と「解釈・意見」を明確に区別して、整理することが大事です。
(2)情報は自分の足で集める
3C分析の情報収集はインターネットなどで収集してしまいがちですが、そうなると自社にとっての真実性が薄まります。
つまり、一般的な情報となってしまい、自社にとっての対策分析としてはほやけ、一般的な分析となってしまいます。
中でも、顧客情報は自社の耳目で、自社のお客様の生の声に触れることが重要です。
机上調査だけか、自分の足で集めた真実か、この違いが戦略のリアリティの差、つまり戦略の成否に直結してきます。
(3)B2B環境分析のやり方
顧客が一般消費者でなく企業の場合の3C分析では、B2Bマーケティングが必要な考え方となります。
B2Bマーケティングでは顧客企業からみた環境分析を行います。
《B2Bマーケティングによる環境分析イメージ図》

顧客企業を理解するためには、まず顧客企業の業界3C分析が必要です。
その中に自社の3C分析を組み込んでいきます。
つまり、自社の3C分析だけを考えるのではなく、顧客企業の発展に貢献できる形で自社の3C分析を行うという姿勢です。
したがって、顧客企業の3C分析の中に、どう自社の3C分析を組み込んでいくのか、その視点が大事です。
その意味から、顧客企業業界の3C分析+自社業界の3C分析という意味で「6C分析」という言われ方もします。
このような経営環境分析を行って対策を講じる姿勢は、自社の競争力や存在感を高めます。
中小企業は大企業とは違い、大変弱い存在であり、これからの数年間のあいだに大淘汰時代がやってくると言われています。
そのような荒海との遭遇を避けて穏やかな内海で経営をしていくためにも、中小企業であるほどこのような経営分析を行って
事前の対策を講じることが大切です。
マーケティングは中小企業ほど重要な課題です。 そのような認識が結果的に自社の環境適応適応戦略につながっていきます。