699.4月1日からの法改正
2025年3月21日
毎年4月なると多くの法改正が実施されますが、今年も多くの法改正がされる予定です。
自社に関係がある法改正には注意しましょう。
1 建築基準法・建築物省エネ法の改正
4月から「省エネ基準適合」が義務付けられます。
それによって新築住宅や建築物では省エネ基準に適合させる必要が生じ、建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査が
必要になります。
2 育児介護休業法の改正
育児と仕事の両立を支援するため、制度の強化がなされます。
その主な変更点はつぎのとおりです。
①残業免除の対象となる労働者の範囲が拡大されます。
②3歳未満の子供を養育する労働者に対するテレワーク等を導入し、働きやすくする努力が義務化されます。
③子供の看護休暇の対象となる子供の範囲が、小学校3年生までに拡大されます。
④子供の看護休暇の取得する理由に、子供の行事参加なども含まれるようになります。
⑤育児休業取得状況の公表義務が、300人超の企業までに拡大されます。
⑥介護離職防止のために、個別の周知や意向確認あるいは雇用環境整備などの措置が義務化されます。
⑦育児休業の取得状況や労働時間に関する状況を把握し、数値目標の設定が義務化されます。
これらによって、企業には従業員の多様な働き方に対応するため、制度の見直しや柔軟な働き方の導入が求められます。
3 育児休業給付金の延長手続きの厳格化
保育所などへ入所できないことを理由に育児休業給付金の延長手続きをする場合、申込書の写しなどの提出が必要となります。
これは理由なく自宅や勤務先から遠い保育所に申し込んでいないかなどの「落選狙い」などを防止するために、
ハローワークが確認して給付の延長が判断できるようにするための措置です。
適用は、施行日の2025年4月1日以後に育児休業に係る子供が1歳に達する場合や1歳6カ月に達する場合からとなります。
これにより厳しく審査されることになるので、育児休業給付金を延長する従業員が減少する可能性があります。
4 雇用保険法の改正
主な変更点は次のとおりです。
①育児休業給付に係る保険料率が0.4%から0.5%に引き上げられます。
②出生後休業支援給付と育児時短就業給付が創設されます。
③自己都合退職者の給付制限期間が見直しされます。
④教育訓練支援給付金の給付率が基本手当の80%から60%に引き下げられます。
⑤就業促進手当が見直しされます。
⑥雇い止めによって離職した人の基本手当が改正されます。
⑦高年齢雇用継続給付の給付率が15%から10%に引き下げられます。
これらによって企業は、雇用保険料の負担増加や従業員の退職・再就職に関する対応の変更が必要となってきます。
5 福祉・介護職員等処遇改善加算への完全移行
福祉・介護職員の処遇改善のための3つの加算が、4段階の福祉・介護職員等処遇改善加算に一本化されます。
それによって福祉・介護事業者は、新たな加算制度に対応する必要が生じます。
6 労働安全衛生規則の改正
一人親方など事業を請負う業者や同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるように、
必要な措置を実施することを事業者に義務付けられます。
それにより企業は、作業現場の安全管理を徹底し、必要な措置を講じる必要が生じます。
7 貨物軽運送の「安全管理者」選任義務化
貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するために、安全管理者の選任・届出が義務付けられます。
それにより貨物軽自動車運送事業者は、安全管理者を選任し、安全管理体制を構築する必要が生じます。
8 職業紹介事業者の紹介手数料率の実績公開義務化
転職エージェントや人材紹介会社など職業紹介事業者は、紹介手数料率の実績公開と違約金規約の明示という新たな義務が
課せられます。
それによって職業紹介事業者は、紹介手数料の実績を公開する必要が生じます。
また、求職者に対しても違約金に関する規約を明示する必要が生じます。
9 障害者雇用の除外率の引き下げ
障害者雇用促進法に基づき、障害者の雇用義務を軽減する除外率が一律10ポイント引き下げられます。
それにより企業は、より多くの障害者を雇用する必要性が高まると思われます。
10 公益法人制度の改正
この改正によって公益法人は資金活用の自由度が増し、柔軟に事業展開しやすくなりますが、
一方、ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう、努める旨を規定で設けるなど、3つの改正ポイントがあります。
それにより公益法人は、資金活用やガバナンス体制を見直す必要が生じる可能性が出て来ます。
11 一般事業主行動計画の策定・変更の仕組みの改正
次世代育成支援対策推進法に基づき、企業は従業員の仕事と育児の両立を図るための行動計画である一般事業主行動計画を
策定する義務があるとされています。
この計画を策定するときには、育児休業の取得状況や労働時間に関する状況を把握して、数値目標を設定することが義務付け
られます。
但し、常時雇用する従業員100人超の企業は『義務』となりますが、100人以下の企業は『努力義務』となっています。
これによって企業は、育児休業の取得状況や労働時間に関する状況を把握して数値目標を設定することが義務付けられると
考えられます。
その他にも改正される制度はあると思われますが、自社に関係がある法改正は要チェックです!