69.2011年度経営課題 回収

2011年2月22日

今回は「手持ち資金をどうやって増やすか」です。手持ち資金を増やすとは、現金・預金を増やすということですから、根本的には売上を増やして、それを回収することになります。しかし、売上が増えればそのプロセスとして『運転資金』が増えるということも以前、説明しました。ですからここでは、その前にできる『手持ち資金』の増やし方を紹介します。

1.売掛金の回収を早める
『手持ち資金』を増やす方法としてまず挙げられるのは、売掛金の回収を早めることです。
①早めると言うよりも、まず、約定とおりに回収するようにします。売掛金の一覧表を見てください。売掛金は約定とおりに回収されていますか?恐らくされていないところが1社でも2社でもあるのではないのでしょうか。されていないところはされるように依頼することが大事です。また併せて権利だけを主張するだけでなく、義務(サービス)を向上することもアピールします。するとどうでしょうか、回収がきっちりできるだけでなく、取引も増えてきます。「不思議」と思われるかも知れませんが、ほんとうです。ぜひ、やってみてください。もし増えなければ、アピールした義務が口だけであったり、独りよがりであったりしています。チェックしてください。

2.仕入を見直す
見直すポイントは1回の数量と品目の見直しです。1回の数量は必要数量だけにし、回数を増やすようにします。また仕入品目も見直し・絞込みます。このことは顧客を見直すということでもあります。「当社のほんとうに顧客は誰なのか」見直します。
そうすることによって在庫が減ることになります。また併せて倉庫の整理もします。もし売れ残りがあればタイミングを逸しないで処分します。

3.固定資産の購入を見直す
固定資産の購入(設備投資)にあたっては、原則「小さくする」といういうことです。計画は理想を考え、そこから待てるものは外していく。次に一ランク落としたらどうなるかということを考える。あるいは新古品・中古品はないのか検討する。もちろん合い見積を取ることは当然です。金額・サービスを含め総合的に検討します。このようにして出費を抑えます。

4.支払は約束とおりに
買掛金、未払い金の支払いです。支払はギリギリにするということです。ギリギリにすると言うことは、極端に言えば、督促があるまで支払わないということです。但し、督促があればお詫びを申しあげて支払います。
※(ちょっと脱線しますが)どうですか、これが売掛金回収の裏側です。如何に支払期限がすぎれば連絡することが大切か分かるでしょ?さらに言えば、常習犯に関しては期限前に連絡することが大切です。

5.経費を節約する
最後に日常経費の節約です。不要なものはほんとうに節約します。節約のポイントはメリハリつけることです。たとえば、コピーすること自体は制限しない。しかし、ためし刷りは裏面を使用するなどする。照明も居れば点ければ良い。だけど、居ない時には消す。それを居る時も消すとかすると「士気」にも関わってきます。しかし、節約することはほんとうにたくさんあると思います。固定費削減30%ほどをめざして削減すると良いと思われます。

■経営分析指標に基づく経営改善は組織体質の改善を伴う
経営分析指標にもとづく経営改善というと、単に数値が改善されるだけと思われている方が多いかもしれませんが、実はそうではありません。経営分析指標を改善していくプロセスには内部の協力と、そして外部に対する交渉・改善がないと達成できません。例えば、「売掛金の回収サイトを短縮したい」と思っても、社員全員がそのように動いてくれないとできません。さらにいくら会社側でそう思っても、得意先が協力してくれないと早く支払はしてくれません。早く支払いに応じてくれたということは、得意先側にそれだけこれまでの信用が持っていただけていたということであり、今後もさらにそれ以上の信用を維持し続けるということに他なりません。このように経営分析指標の改善は、まさしく企業体質が変革した実証なのであり、小手先の変化では経営分析指標の改善はされません。
ぜひ、経営分析指標に基づく経営改善をお勧めする次第です。

■決算対策では経営改善はできない
またこれまで経営改善というと決算対策が重要であるように言われていましたが、実は決算対策では経営改善はできません。決算対策は、決算報告が対外報告書であるため、極力美しく見えるようにする化粧みないなもので、下地は変わりません。決算を美しく見せることは重要であることに変わりはありませんが、経営を改善するという側面から見ると、重要なのは通院治療であり、月次対策が重要です。月次対策を講じることによって会社は良くなります。そのことを『PDCAマネジメントサイクル』と呼ぶわけですが、次回は「固定費を十分下げているか」についてご説明します。