85.貸借対照表の意味を知ろう
2012年3月9日
08年リーマンショックの影響を何とか乗り越えたかと思えば、昨年は東日本大震災、大津波、原発事故とさらに大きな波が押し寄せ、夏にはタイの洪水被害と意外に影響を与える波があった。経営を取り巻く環境は激しく変わる。そしてようやく落ち着きを取り戻しつつあるかと思えば、また遥か水平線の向こうから欧州の金融危機という波がどうやら大きくなって来るような気配になってきた。
こんなに経営環境の変化が激しいときにはBSに基づく経営が重要となる。BSというと「どうもむずかしくて‥」と顔を背ける経営者も多いようだが、いまやそんな悠長なことは言っていられない。どうしてもBS、つまり財務体質を強化してこれからの経営環境を迎えないと、中小零細企業と言えど、もう維持することはできない。いや、中小零細企業だからこそできない。
そこで今回からは「誰でも理解できるBS」について説明をします。
1.BSとは
BS、つまり貸借対照表とはよくこう言われる‥BSとは会社の財政状況を表すと。一見、なるほどと思いますが、具体的に考えるとどう表すのかわからない。財政状況を表すとは、一体どういうこと?
そこで、こう理解をすればよくわかる。右側は『カネのでどころ』を表し、左側は『購入しているモノ』を表していると。
そう考えると、カネのでどころによっては、そのカネで購入して良いモノと購入してはいけないモノがあることが理解できる。例えば‥、いくらクルマが必要だからといって、消費者ローンからカネを借りてクルマを購入するのはどうかと思いますよね。事業もそれと同じです。事業に必要な設備を購入するために短期間で返済しなければならないカネ(流動負債)で購入してはいけません。日々の運転資金が苦しいからといって、マチ金やヤミ金で借りてはいけないことが良く理解できます。
2.自己資本(純資産)と他人資本(負債)、併せて総資本
右側はカネのでどころですが、大きく2つに分けてBSは管理しています。つまり、自社で用意したカネである『自己資本』と自社以外から調達したカネである『他人資本』です。自己資本のことを『純資産』といいます。他人資本のことを『負債』といいます。そして自己資本と他人資本を併せて『総資本』といいます。つまり、総資本とは純資産と負債の合計です。他人資本である負債は長期(1年超)に渡って返済する『固定負債』と短期(1年以内)に返済しなければならない『流動負債』に2つ分けられます。
3.購入したモノ、資産
左側は購入したモノですから、『資産』といいます。資産は3つに分けて管理します。一つは1年以内に資金(現金・預金)化できる資産である『流動資産』です。二つめは1年を超えて資金化できる資産である『固定資産』です。三つめは開業時に生じる『繰延資産』です。
4.BSのルール
ルールはカンタンです。すぐ返済しないといけないカネ「流動負債」は、いつでも返済できる資産「流動資産」で使うことです(使うことを運用といいます)。また設備などの長期に渡って減価償却という形で資金化されるモノ「固定資産」は、できれば返済義務の無い自己資本である「純資産」と、もし足らなければ長期に渡ってゆっくり返済すればよいカネ「固定負債」で購入することです。
この二つのルールを守れば、貴社の安全性は増します。
さて、あなたの会社はこのルールが守れていますか。