87.損益計算書の意味を知ろう
2012年3月27日
今回は「PLの意味」をご紹介します。
1.損益計算書(PL)とは
PL(損益計算書)は「会社の経営成績を表す」と一般的には言われています。PLはその「経営成績」をつぎのとおり、6つの評価で表しています。
①自社のお客様・市場からの支持
②自社商品・製品・サービスの魅力度
③社内努力の成果
④経営マネジメントの結果
⑤自社の総合マネジメントの結果
⑥自社の最終評価
この6つの評価を、売上高・売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益として表しています。この中でもっとも重要な項目は、売上高・売上総利益・営業利益の3つです。以前は営業利益よりも経常利益を重要視する風潮がありましたが、いまは多くの事業が本業で利益を出せない時代です。したがって現代は、営業利益ベースでしっかりマネジメントすることが重要です。
2.売上高
売上高を見るときに重要なことは、「増えた」・「減った」ではなく、「お客様の評価が上がった」・「お客様の評価が下がった」と認識することです。そう認識することによって、「工夫しよう」という姿勢が生じてきます。売上高の増減は決して環境のせいだけではありません。変わり行く環境に自社経営がアジャストできているのか、ズレて来ているのかを表しています。したがって、数ヶ月もあるいは数年続けて売上高が減少しているのなら、「当社の姿勢が市場の要求にあっていないのかな」とチェックする必要があります。増えた・減ったで一喜一憂するだけの姿勢では、そのような取り組みができません。
現代は、商品・製品・サービスだけではお客様の満足は得られません。売れる工夫とサービス力を強化することが大切です。そのような捉え方・考え方をマーケティングといいます。
あなたの会社では、まず当たり前のことが出来ていますか?
お客様が来られたら、お客様をちゃんと見て「いらっしゃいませ」と言っていますか?
取引先が来られたらご挨拶することはもちろんのこと、気持ちの良いおもてなしをしていますか?
またお店や事務所はきれいにしていますか?
気持ちの良い電話応対をしていますか?
応対はスピードを心がけていますか?
さらにお客様や取引先をウキウキさせていますか? などなど。
もし皆さんがこのような応対をされるとどう思いますか。きっと印象に残ってリピーターになったり、この取引先はしっかりされている会社だなと思うはずです。こんな当たり前のことが意外と出来ていないのです。そのような姿勢もマーケティングといいます。マーケティングは決して難しいものではなく、身近なものです。また中小企業にますます必要な要素です。
さらにいまは好き嫌いに関係なくインターネットの時代です。インターネットを活用しようと取り組んでいますか?この姿勢が将来の大きな財産に必ずなってきます。これも当たり前です‥。
3.売上総利益
売上総利益とは、売上から仕入原価や材料費などの製造原価を差引した利益です。この売上総利益は皆さんの事業の魅力度を示します。利益が取れないのは、「事業に魅力がないからだ」と捉えるべきです。魅力があれば、必ず適正な売上総利益が取れます。魅力が無いから、価格競争するしかないのです。魅力とは、商品・製品・サービスだけでなく、人的サービスが一番大きいと知るべきです。皆さん、生活の中でいろいろ電話などをされ、こんなことを感じませんか?
なかなか電話に出ない‥
名前も名乗らない‥
あいさつがない‥
覇気のある声でない‥
折り返し電話をすると言っておきながら、なかなか電話が来ない‥
また、より魅力ある事業にするためには、お客様をもっと絞り込み、イメージする必要があります。イメージしてどのような品揃えをすべきか、どのようなサービスをするべきかなどを考える必要があります。すると自社の特徴が生じてきます。またお客様満足などは良い連鎖を生じさせてきます。すると事業にハリや元気が出てきます。するとまた正の連鎖を呼び込みます。
さらに在庫をしっかり管理する必要もあります。そうすることによってロスや無駄がなくなります。また在庫管理をすることで売れ筋などを商品を通じて市場を知ることも出来ます。
4.営業利益
営業利益とは、売上総利益から販管人件費と経費を差し引いたものです。その中で、特に経費は社内努力で減らすことが出来る費用です。減らせた経費はそのまま利益に変身します。経費の削減には社内の利害関係はありません。全員で協力して経費の無駄をなくしましょう。
それに比べて人件費をいじることには難しい問題があります。社内に利害関係があるからです。しかし重要なことは2点あります。第1点は、いまはデフレ社会ですので、昇給しなくとも実質昇給であるということです。そのことを折に触れて社員に伝えておく必要があります。第2点は人件費をいじる場合には、その背景をよく社員に伝え、話し合いのうえ実行することです。
5.経常利益
経常利益は、営業利益から金融費用を差し引いたものです。したがって経営マネジメントの結果といえます。ここでのポイントはギリギリになってしまってから金融機関に交渉するのではなく、その兆候を掴んだなら、なるべく早く交渉するということです。兆候を消滅させられれば良いのですが、多くの場合は様子見をしている間にさらに状況は悪くなり、金融機関に交渉しても金融機関も困ってしまうという状況になってしますことです。
さらに金融機関に対する意識改革をする必要もあると思います。皆さんは金融機関からお金を貸してい・た・だ・い・て・い・る・と思っていませんか。あるいは精神的に金融機関を上位に感じていませんか。融資を受けているということは「お金を貸していただいている」ということではなく、その金融機関からお金という商品を買っているということです。お客様は皆さんです。そういう姿勢を感じることも金融機関との交渉において大切だと思います。これは威張ることをお勧めているのではなく、堂々と交渉されれば良いことをお勧めしています。したがって、金融機関のために決算をなんとか黒字化にするというのは愚の骨頂です。真実は赤字なのに、そのために黒字化し、ますます資金繰りを厳しくしているということです。ならば事実を説明し、そのような方策・戦略を持って改善しようとしているのか説明した方が、よっぽど、説得力があります。
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