92.財表基本知識 P/Lの構造

2012年9月27日

4.損益計算書(Profit and Loss Statement)の基本構造

P/Lは2つの収益と3つの費用、そして3つの利益から構成されます。

(1)2つの収益とは売上高と営業外収益
①売上高とは本業での収入であり、お客様の支持といえます。売上高が増えた・減ったとだけ思うのではなく、何がお客様の支持を得ているのか、あるいはどうしてお客様の支持が得られなくなったのかを良く考えましょう。特に最近は一般的に売上高が減少気味です。果たしてそれが景気や人口減の影響を受けた結果だけなのでしょうか・・。ほとんどの場合はそんなダイナミックな影響は受けておらず、自社の魅力がなくなってきていると謙虚に受け止めてみるべきだと思います。周囲の所為にせず、自社に原因を求めてこそ進歩があり、インプルーブするものです。
②営業外収益とは文字どおり、本業外の収入です。いま黒字企業といわれている企業は意外とこの営業外で稼いで黒字経営を図っている会社が多いのが実情です。でもそれで本当に良いのでしょうか?会社は本業で黒字経営化するべきだと思います。
③またこれらの収益は資金の源泉となりますが、売上は回収して初めて資金となります。売っただけでは資金になりません。このことをよく理解して置きましょう。売っただけでは飯にならない、回収して初めて飯になるということです。

(2)3つの費用とは売上原価と販売費及び一般管理費及(略して販管費)と営業外費用
①売上原価とは売上高に対する原価要素であり、よく観察すると商品仕入や材料費などの直接原価と労務費や製造原価などの間接原価に分けられます。直接原価のことを変動費といい、変動費以外のことを固定費ともいいます。このことも理解しておくと後々役に立ちます。ちょっと覚えておきましょう。
②販管費とは販売に要する経費と管理に要する経費のことである。販売費とは広告宣伝費であったり、発送配達費であったり、販売員給与や販売員旅費などです。一般管理費とは福利厚生費であったり、地代家賃であったり、事務員給与や水道光熱費などです。販売費と一般管理費を区別することはあまり重要ではありませんが、一部の販売費の中には変動費があるかもしれないということを余裕があれば知っておきましょう。
③営業外費用とはその文どおり、本業外での費用です。主なものは支払利息です。
④これら費用は資金の使途となります。つまり、利益を減らす要因であり、資金を減らす要因です。この費用を削減すれば、収益構造を改善させることになり、資金繰りも改善させることになる

(3)3つの利益とは売上総利益及び営業利益(損失)と経常利益で(損失)
①売上総利益は 売上高-売上原価 で求められます。大切なことは、売上総利益は自社の商品・製品・サービスの魅力度だということです。魅力があれば当然、売上総利益は大きくなります。魅力がなければ当然、価格を下げなければならないので、売上総利益は少なくなります。ただ重要なことは現代は成熟社会でありコモディティー社会なので、基本的には商品・製品・サービスだけではもう差別化はできないということです。大企業であればブランド化などによって高付加価値化が図れますが、私たち中小企業ではブランド化はなかなか難しいので、おもてなしやアフターサービスが高付加価値化となります。特に当たり前のことをきちんとやっているかよく考えてみましょう(意外とやっていないものです)。
③営業利益(損失)とは本業の利益であり、いまもっとも重要な利益概念です。ほとんどの企業があまりにも低い営業利益となっています。営業利益とは 売上総利益-販管費 で求められ、いかに販管費を抑えるかがポイントです。その意味では営業利益は経営努力の成果ともいえます。20%以上の営業利益を目指す気概で経営にあたりたいものです。
④経常利益(損失)とは 営業利益+営業外収益-営業外費用 で求められます。かんたんに言えば、支払金利負担後の営業利益と言いかえることができます。その意味では経営マネジメントの成果といえます。10%の経常利益は確保したいものです。。
⑤利益にはこれらのほかに、特別損益を加味した税引前当期純利益(損失)と税金負担後の当期純利益(損失)がある。

ここではこれ以上詳しくは説明しませんが、P/Lは会社の収益と費用を表し、営業上の課題や問題を表しています。

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