118.借入金依存度に陥る原因1
2012年11月27日
5.借入依存になってしまう原因(1)
自社の借入金依存度は如何だったでしょうか。
思ってた以上に依存度は高いと思われましたか? あるいは思っていたほどではなかったでしょうか?
この数週間、自民党・安倍総裁の発言の影響か、円高傾向は少し収まり、株価も上昇傾向にあるようです。気分的にはこの蛍光は重要なことですが、しかしそれがすぐに企業経営の現場に影響してくるわけではありません。
インプルーブ研究所では円高・デフレ傾向は続くと思っています。したがって借入金依存度は解消しなくてはなりません。
今回からは、その借入依存になってしまう原因を明らかにし、その対策を考えてみたいと思います。
(1)運転資金不足
①運転資金とは売買活動を通じて得る資金です。つまり、買入債務ということになります。
②それに対して売買活動を通じて運用している資産は、売上債権と棚卸資産です。
③運転資金の不足とはその差が大きくなると生じてきます。図示すると次のとおりです。
1)売買活動の流れは現金商売でない限り上図の通り、仕入⇒販売⇒支払⇒回収という流れになり、売上回収よりも仕入支払が先になります。
2)この立替日数分の資金のことを「運転資金要調達高」といいます。これが大きくなりすぎると手元資金だけでは足りなくなり、銀行から借入をすることになります。
3)そのような運転資金不足を起こさないためには、運転資金要調達高を極力低くする必要があります。
4)運転資金要調達高の大きさのことを「運転資金要調達率」といいます。
これらを算式化すると次のとおりとなります。
運転資金要調達高=(棚卸資産+売上債権)-買入債務
運転資金要調達率=運転資金要調達高÷年商×100
④運転資金不足にならないための対策
算式、図示からわかるように対策は次のとおりとなります。
1)買掛金などの買入債務の支払約定を極力長くする。
「それは理屈」とは言わないで、仕入単価などの見直しと併せて、必要であれば仕入先と交渉しましょう。
2)棚卸期間を短くする。
これは1回に売れるだけの仕入をするということです。すると支払約定を長くするという効果と実質同じ効果が出てきます。
3)売上債権回収期間を短縮する。
例えば、新しい取引先には新しい約定で取引を始めるとか、代金の一部現金化を図るなどです。
要調達高はともかく、要調達率は20%あれば高すぎると考えましょう。なんとか10%前半には持って行きたいものです。
対策を見られた皆さんはもっと奇抜な方法があるのかと思われていましたか?
あるいは「なんだ・・・。」と思われましたか?
そのとおりなんです。経営にはそんな奇抜なことはありません。そんな奇抜な経営ノウハウには必ずどこかに落とし穴があります。経営は当たり前のことをやるか、やらないかです。
意外と多くの経営者はその「当たり前のこと」ができないのです。当たり前のことを粛々と実行し、事業を改善して行きましょう!
ご質問等はお気軽にインプルーブ研究所まで。