127.会計識字力 B/Sの読み方

2013年9月7日

第4話 貸借対照表の読み方-まとめ-

第2話・第3話とB/Sについて説明してきました。
ここで「あくまでも経営者として自社のB/Sのどこを見るか」について(決して一般書籍にあるような株式投資家としてどこを見るかとか、取引企業の与信としてどこを見るかという話ではありません!)、まとめておきたいと思います。


1.まず見るべきは「純資産」

資本金と純資産を比べ、資本金<純資産なのか、資本金>純資産なのか、見ます。
資本金<純資産であれば「成功の度合いはともかく、あなたの事業はうまく行っている」ということです(ただし問題が全くないというわけではありません)。
資本金>純資産であれば「理由はどうであれ、あなたの事業には問題がある」ということです。早急に事業を点検しなければなりません。

 
2.次に「負債」と「純資産」を比べる

たとえば、負債の額が2000万あり、純資産の額が500万であれば、負債は純資産に比べて4倍もあることになります。ちょっと負債、つまり他人資本に頼りすぎということがわかります。もし事業を大々的に大きくしたくて、いまがその途中であれば別でしょうが、普通は同額程度、多くとも2倍程度には抑えたいところです。
このことは家計感覚で考えればよくわかります。豪邸には住んでいるが、まだ8割も住宅ローンであるようなものです。豪邸は資産であり、住宅ローンは負債、残り2割だけが自己資本ということです。本来、事業と家計は違うのでしょうが、我々スモールビジネスはほとんど同じです。家計感覚で経営をすれば堅実な経営ができます。
なお、負債と純資産を比べることを“負債比率”といいます。覚えられれば覚えておきましょう。


3.3番目に「負債」の内訳を確認する

負債の内訳とは「流動負債」「固定負債」です。
流動負債とは大体1年以内に返済する債務でした。支払代金である買掛金、運転資金の借入金、経費の未払金などです。あっそうそう、設備資金の長期借入金のうち、今年の返済分も流動負債です。
固定負債とはほとんどが設備資金の長期借入金です。ただし、今年返済分は流動負債ですよ。それと固定負債には社長ご自身が会社に入れている役員借入れもあるかもわかりません。この2つを比べて1:2ぐらいにはしておきたいものです。
負債が2000万あるのであれば、流動負債7000万、固定負債1300万ぐらいですね。

ここまでのことを『財務体質』といいます。人間にたとえれば、内臓の健康度合いみないな感じでしょうか。

 

4.最後に財産の状況を確認する
財産(資産)にはいろいろありますが、確認すべきは3つです。現預金売上債権在庫の額です。

現預金は平均月商と比べて残高の適正度を判断します。最低でも月商1か月分、目標は3か月分です。

売上債権は平均日商と比べて残高の適正度を判断します。社長のあなたが「当社は翌月に売上代金を支払ってもらっている」とおっしゃるのであれば、30日分程度しかないはずです。それが60日分も90日分もあるのは明らかにおかしい!売上債権は多ければいいというものではありません。身の丈分であることが重要です。

在庫も平均日商と比べて残高の適正を判断します。これは業種によっても違うのでしょうが、しかし今の時代、これだけ流通が発達しているので最大でも2週間分程度で十分と考えるべきでしょう。多く持つと不良在庫となったり、余剰在庫となったり、あるいはどこかへ消えてしまうということになってしまいます。在庫は代金を支払ってそこにあるわけですから、現金と同じです。お金がお金でなくなったりしたら大変ですよね。

このようなことがB/S、貸借対照表で確認することができます。だから毎月、月次試算表がなくてはなりません。しかも正確に区分されているものです。

 

あなたの会社では月次試算表が毎月、早期に入手できていますか?
あるいはそれは正しい月次試算表ですか