128.会計識字力 純資産読み方

2013年9月9日

第5話 純資産の読み方

今回は純資産の動きついて、もっと詳しく見てみましょう。 そもそも事業を始めた頃のことを思い出してください。誰しも「成功させたい!」と思って事業を始めるわけです。「成功させたい!」ということはどういうことでしょうか。 そう、「『利益』を出したい!」 ということですね。

そして、創業し、創業当初のB/Sは次のような形で始まります。

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当初の資産=(銀行借入れ)+(自己資本) です。
これを一般的に書き換えると、「資産=負債+純資産」になります。
つまり、事業をスタートさせたばかりですから利益はありません。
したがって、資産と負債・純資産は同額となります。

そして1年を終えれば、1年目の結果が出ます。
利益がでれば・・ 当初資産+増加資産=(銀行借入れ)+(自己資本+利益) です。
利益がでた分だけ、何かしらの資産、たとえば現預金などがふえることになります。

逆に利益がでなければ・・ 当初資産-資産の減少=(銀行借入れ)+(自己資本-損失)
利益がでなかった分だけ、何かしらの資産が減少することになります。

ここが何回も言うようにポイントです。
つまり、事業がうまく行けば必ず純資産は増え、その分、資産も増えます。
いわゆる『繰越利益剰余金』が生じて、現預金や売上債権、固定資産などの資産も増えます。

逆に思うように行かなければ、必ず純資産は減り、その分、資産は減ります。
つまり『繰越利益欠損金』が生じて、恐らく現預金という資産が減ることになっています。

だから、『純資産』を見れば、あなたの事業がうまく行っているのか、それとも苦戦しているのか、掴めることになります。 さらに事業がうまく行かないことが続くと、やがては資本金を超える繰越利益欠損金が生じ、その状態のことを『債務超過』と言います。
つまり、「資産=負債+純資産」の状況から、「資産-繰越欠損=負債+純資産の減少」となり、やがて資本金は消えて「資産=負債」となり、さらに「資産-債務超過=負債」となって行きます。負債が資産より多くなり、やがて事業は破綻することになります。

さて、あなたの事業はどういう状態ですか?
繰越利益剰余金が十分ありますか。
それとも繰越利益欠損金がある状況ですか。
あるいはそれとも債務超過になっていますか。