132.会計識字力 流資の読み方
2013年10月5日
第9話 貸借対照表の枝葉を見よう -流動資産-
1.流動資産とは何か?
流動資産とは向こう1年以内で資金化できるはずの資産をいいます。
資金化とは「現金又は預金になる」ということです。
ちょっと主な流動資産を確認をしてみましょう・・。
(1)現金 これはすでに資金化されている資産ですね。
(2)預金 これも同じですね。しかしもし余裕あれば預金には流動性預金と呼ばれるも
のと固定性預金と呼ばれるもの2種類あることを覚えておきましょう。
流動性預金とは日常出し入れする預金のことで、普通預金や当座預金などが
あります。
固定性預金とは将来に対して蓄える預金のことで、定期預金や積立預金など
があります。
(3)売上債権 売上債権とは受取手形や売掛金のことですが売ったものに対する債権です。
得意先が倒産や支払を渋らない限り翌月から2・3ヶ月後には現金又は預金
になります。
(4)棚卸資産 これは在庫ですね。これから売れれば半年後くらいには現金又は預金に
なりますね。
(5)その他 そのほかにも立替金や仮払金、短期貸付金などがあります。これもしっかり
管理すれば通常は1年以内には現金又は預金になります。
始めからそうでないとわかっている場合は固定資産に分類しなければなりま
せん。そうしないと経営に活かせる会計資料になりません。
このように流動資産はすべて1年以内に資金化できる資産です。つまり、流動資産は支払原資と言い換えることもできます。
2.流動資産を経営判断にどう活かすか?
ではこの流動資産をどのようにして経営判断に活かしましょうか?
それは流動負債と比べることによって活かせるようになります。
(1)支払余力
流動負債とは流動資産の逆、つまり向こう1年以内で返済しないといけない債務のことです。したがって、流動資産で流動負債を支払うことになります。
支払余力 = 流動資産 - 流動負債
(2)注意事項
ここで注意すべき点は、流動負債はほとんどが確定債務ですが、流動資産は確定債権とは限らないということです。
自社の売掛金や在庫を見てください。回収できない売掛金はありませんか?もう売ることができない在庫はありませんか?あるいは今年は回収できない短期貸付金などはありませんか?
もしそのようなものがあれば除外して流動資産を考えなくてはなりません。そのようなことを考慮して支払余力を判断しなくてはなりません。
(3)支払余力の指標
支払余力の指標としてを流動比率と当座比率があります。
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 ×100
当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 ×100
※当座資産とは流動資産から在庫とその他流動資産を除外したものです。
流動比率は支払余力、支払能力を総合的見た指標です。当座比率はそれをより厳しく判断しようとする指標です。どちらで判断した方が間違いないかと言えばそれは当座比率です。
(4)評価尺度
大事なことは評価尺度を持つことです。
流動比率 100%以下 支払余力はない、支払能力としては問題!
150%前後 最低でも維持したい支払余力
200%以上 目標とすべき支払余力、支払能力は問題ナシです!
当座比率 50%以下 支払余力はない、支払能力としては問題!
80%前後 最低でも維持したい支払余力
100%以上 目標とすべき支払余力、支払能力は問題ナシです!
こういう風に財務諸表を見ると、財務諸表がまるで経営のコックピットのように思えてきませんか?
これが経営会計です。