134.会計識字力 流負の読み方
2013年10月15日
第11話 貸借対照表の枝葉を見よう -流動負債-
1.流動負債とは何か?
流動負債とは基本的に1年以内返済しなければならない債務を表します。
簡単に云えば1年以内に返さなければならない借金と考えてください。
主な流動負債を確認してみましょう・・。
(1)買入債務 これは支払手形と買掛金のことです。掛けで仕入することですね。
但し、支払手形には注意が必要です。これは期日になれば、金融機関で
自動的に決済されますので待ったナシです。手形は支払を先に延ばせま
すので資金繰りという観点からは便利なものですが、しかし期日に決済
できなければ銀行取引が出来なくなります。つまり自動的に倒産に追い
込まれます。従ってなるべく支払手形は利用しないほうが安全です。
(2)短期借入金 これは運転資金目的で借りた銀行融資です。1年以上に渡って返済する
のであれば固定負債の長期借入金に分類します。但しそのうち1年内に
返済する金額は1年以内返済長期借入金に計上します。少し面倒ですが
財務諸表で正しい経営判断するためには重要な会計処理です。
(3)未払費用 これは仕入以外の未払いのものです。たとえばガソリンをカードで給油
した場合、支払いが翌月になったりします。あるいは通信費などがこれ
に該当します。
(4)預り金 これは社会保険や厚生年金などの本人預かり分などですね。
(5)その他 そのほかにも仮受金などがあります。
管理すれば通常は1年以内には現金又は預金になります。
このようにこれら流動負債はすべて1年以内に支払わなくてはならない債務ですが、見方を変えれば資金を調達していることにもなります。
2.流動負債を経営判断にどう活かすか?
ではこの流動負債をどのようにして経営判断に活かしましょうか?
それは第9話でご紹介したように流動資産と比べることによって活かせるようになります。
(1)支払余力
流動資産と比べることによって支払余力が分かります。
支払余力 = 流動資産 - 流動負債
(2)注意事項
ここで注意すべき点は流動負債はほとんどが確定債務ですが、流動資産は確定債権とは限らないということでしたね。
(3)支払余力の指標
支払余力の指標としてを流動比率と当座比率があります。
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 ×100
当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 ×100
※当座資産とは流動資産から在庫とその他流動資産を除外したものです。
流動比率は支払余力、支払能力を総合的見た指標です。当座比率はそれをより厳しく判断しようとする指標です。どちらで判断した方が間違いないかと言えばそれは当座比率です。
(4)評価尺度
大事なことは評価尺度を持つことでしたね。
流動比率 100%以下 支払余力はない、支払能力としては問題!
150%前後 最低でも維持したい支払余力
200%以上 目標とすべき支払余力、支払能力は問題ナシです!
当座比率 50%以下 支払余力はない、支払能力としては問題!
80%前後 最低でも維持したい支払余力
100%以上 目標とすべき支払余力、支払能力は問題ナシです!
こういう風に財務諸表を見ると、財務諸表がまるで経営のコックピットのように思えてきませんか?
これが経営会計です。