143.会計識字力 利益を増やす
2013年12月13日
第20話 利益を増やす、利益の増やし方(3)
3.売上を増やして利益を増やす
費用をリストラするために経営革新をすることも大切だか、事業を継続するためにはやはり売上を増やさなければならない。人件費を始めとして事業を続けていくためにはどうしても費用は増えていくからだ。しかし国内市場は縮小しはじめ成熟社会に入っているので、その中で売上を増やすことは容易ではない・・というのは過去の延長線上、固定観念に陥っているからであって、いまの時代でも考え方やアングルさえ変えれば売上高は意外と伸ばすことが可能だ。
「成熟社会」とは見方を変えれば、若干粗雑品でも安ければいいという時代観ではないということだ。“低価格である”という概念は大切だが、そのなかでも良いものを見分ける市場になったということだ。さらに“良いもの”ということも、製品や商品・サービスそのものだけでなく、購入時の対応や購入後のアフターサービスなども含めた広い評価だ。したがって、常に真摯にお客さまに対して努力を続けている企業が必ず評価される時代に入ったということだ。そう考えると「正義は勝ち悪は滅びる」的な真っ当な時代になったという歓迎すべき時代になったとも言える。またそれはどちらかといえば、大企業よりも小企業のほうにアドバンテージがある社会になりつつあるとも言える。何しろ少人数のほうが全社一丸になりやすい。
「市場縮小」も確かに国内人口は徐々に減り出しているのだろうが、世界の人口は増え続けている。だからどこで区切って市場を見るかによって市場は拡大している。またたとえ遠方であっても現在はインターネットや流通の発達でカンタンにアクセスできる。海外といっても、もう大企業だけのものではない。企業規模や資本力という条件は無くなってしまっている。このことに気づき、自覚することが重要だ。
(1)当たり前のことを当たり前にできているか
あなたの会社、商売は当たり前のことをできているか?
「当たり前」とはあいさつ、清掃、整理整頓、おもてなしなどである。あいさつとはお客さまが来られたら「いらっしゃいませ」とお客さまを見て明るいさわやかな声でいうことである。これは小売業やサービス業に限らず、すべての業種で必要だ。お客さまが来られない業種はないからだ。
「清掃」とはお店、事務所、工場内の掃除はもちろんのこと、外も含めて出来ているかということだ。
「整理整頓」とは商品展示に限らず、お客さまに見えているところ、見えてないところも含めてのことだ。
「おもてなし」とはお帰りになったらお客さまのほうを向いて「ありがとうございました」「失礼します」というやお茶を出したりすることは言うまでもなく、お客さまに気持ち良くなっていただくことすべてだ。
このように掘り下げて「当たり前」を考えれば、当たり前をできているところは少なく、そのゴールはないことに気づく。
(2)お客さまを決めているか
さまざまなお客さまが訪れる。しかし大事なことはその中でも自社のお客さまを決めているかということだ。それによって自社の特徴が醸し出されて、特色として印象に残り、強みとなる。
(3)自社の強みを自覚し高めているか
強みを自覚することだ大事だ。自覚をしているからこそ、さらに高めることができる。自覚しているからこそ反省もできる。自覚しているからこそ変更もできる。そしてそれに付け加えたいことは、お客さまにわかるようにしているかということだ。「お客さまにわかるように」という工夫がなければそれは自己満足に過ぎない。お客さま目線で「自社の強み」の表現を見直すことをしたい。
(4)インターネットを積極的に活用しようとしているか
インターネットもITからICTに変貌しつつある。ITとは「インフォメーションテクノロジー・情報技術」だったが、いまはICT「インフォメーションコミュニケーションテクノロジー・情報伝達技術」に変わりつつある。まだまだ中小企業においてはインターネットに対する評価が低い。「苦手」「わからない」で済ましている企業が多い。しかしもうそれでは済まない。インターネットを利用できない企業は経済社会から退場せざるを得なくなる。さらにインターネットが強みを市場に伝えるツールとなり、市場を日本全国・全世界まで広げるツールとなる。
このように売上を増やすためには広告するとかチラシを巻くとか営業員を増員するとかお金をかける方法もあるが、ここに書いた内容は基本的にあまりかからないということだ。このことが大事だ。このお金がかからないことをまず行い、そしてお金をかけること行う。この順番を間違えるとお金をかけても成果は上がらない。このことは重要なことである。
(「利益を増やす、増やし方」終わり」