149.会計識字力 資金を読む⑥
2014年1月11日
第26話 資金の読み方(6)
前回は資金の読み方を説明した。
営業キャッシュフローは経営力をもって必ずプラス(+)にしなければならない。そうでないと運転資金も不足するし新たな設備投資もできない。さらに借入金の返済も出来なくなる。
投資キャッシュフローは基本的に設備投資したときにマイナス(-)になる。通常はゼロだ。
財務キャッシュフローは営業キャッシュフローが不足するときに銀行借入という方法でプラス(+)にする。そしてその後、その借入金返済でマイナス(-)という動きになる。つまり財務キャッシュフローは資金の手当とその返済の動きだ。
以上が資金の読み方であった。今回は「キャッシュフロー計算書で自社の状況を知る方法」紹介する。
3.キャッシュフロー計算書による自社状況
(1)キャッシュフロー計算書による8類型
キャッシュフロー計算書の3つの活動はそのときどきの事業期間の動きでプラスになったりマイナスになったりする。そのパターンで自社の状況を推測することができる。
そのパターンによって8類型に分けられる。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□営業CF□□□□投資CF□□□□財務CF
パターンA 事業再構築準備中企業 プラス (+) プラス (+) プラス (+)
●営業で資金生み出し、財務でも資金調達。更に資産も売却。資金を貯めて事業再構築か?
パターンB 財務体質改善中企業 プラス (+) プラス (+) マイナス(-)
●営業で資金生み出し、資産も売却そして借入金を返済。財務体質の改善にまっしぐら?
パターンC 優良経営企業 プラス (+) マイナス(-) プラス (+)
●営業で資金生み出し、財務でも資金調達し、設備投資へ資金を回している。優良型企業?
パターンD 強み伝い経営企業 プラス (+) マイナス(-) マイナス(-)
●営業で資金を生み出し、借入金を返済しながら設備にも投資。事業に強みがある企業?
パターンE 問題先送り企業 マイナス(-) プラス (+) プラス (+)
●営業でのマイナスを資産売却と借入金でカバー。このままでは経営破たんも必死?
パターンF 事業縮小中企業 マイナス(-) プラス (+) マイナス(-)
●営業はマイナス。しかし資産売却で借入返済。過去の蓄積切り崩し、事業を継続中?
パターンG 事業再建中企業 マイナス(-) マイナス(-) プラス (+)
●営業はマイナスだが、資金調達をして設備投資。事業再建の真っ只中、計画は大丈夫か?
パターンH スネカジリ企業 マイナス(-) マイナス(-) マイナス(-)
●営業はマイナスでも借入は返済、しかも設備投資中。昔の蓄財で経営しているが大丈夫?
このようにキャッシュフロー計算書の3つの活動状況で経営状況が想像できるが、あなたの会社はどのパターンだろうか?
キャッシュフロー計算書ではこれだけのことがわかるが、これを提供していない会計事務所があるとすれば、会計事務所としての怠慢といえるのではないのだろうか。