4.正しい会計処理が必要な訳

2009年5月7日

何のために「正しい会計処理」を行うのか
「正しい会計処理を行いましょう」とよく言われますね。でも、「正しい会計処理」は何のために行うのでしょうか。よく言われるのは「正しい会計処理をやって正しい決算・申告を」ということです。しかしよく考えてみると「正しい会計処理」を行って、正しい決算・申告へ導くなんて当たり前のことでしょ?なぜなら「正しい会計処理」をやっているのだから、必然的に正しい決算・申告になるはずです。もし「正しい会計処理」をやって、正しい決算・申告ができないのなら、その会計処理は間違っているということです。つまり、「正しい会計処理を行って正しい決算・申告を」と言うことは、異音同意語、つまり表現は違うが、同じことの繰り返しに過ぎないということです。
では、いったい何のために「正しい会計処理」を行うのでしょうか?それは会計本来の目的である経営管理のためです。「正しい会計処理」を続けることによって会社の成長を確認したり、あるいは会社の課題や問題を発見するために「正しい会計処理」をするわけです。
「節税」って
ついでに「節税」ということについても考えましょう。「節税」という言葉に疑問を感じませんか?税額は税法に基づいて算出されるものであり、そこには「損」も「得」もありません。あるとすれば、税法を知らずに、本来、課税されないのに課税されるように処理してしまったか、またその逆かどのちらかです。あるいはその以前の問題ですが、単なる計算間違いかということです。したがって「節税」を謳っている会計事務所は、本来の会計事務所に求められる使命から考えるとあまりいい事務所と言えないかもわかりません。そもそも「税に王道あり」です。税法には確かにいろいろと解釈できる余地もあるのかもわかりません。しかしその法の精神に照らし合わせて考えれば、当然の解釈はできるはずです。それを「こうとも読める」と歪んだ解釈をしても、いずれ是正されると考えてよいと思います。特に贈与税・相続税などの資産税関係に多いようです。だから節約できる税など無いと考えるべきだと思います。
経営に役立てるため(管理会計)の「正しい会計処理」は非常に厳しい
話を「正しい会計処理」に戻します。「正しい会計処理」はそれほど難しいものではありません。日々の取引をそのとおり仕訳すればよいだけです。しかしそれだけでは決算・申告のためには役立ったとしても経営に役立つもの(管理会計)にはなりません。
経営に役立たせるためには、まず、その日に処理しなければなりません。なぜなら前年同日比較ができなくなりますし、さらに前日までの状況が翌日にはわからないからです。いまや情報は非常に企業経営において重要です。さらに鮮度が重要です。もし大企業において重要であれば、なおさらそれに負けないようにならなければならない小さな会社においてはまして重要です。
また情報鮮度に加えて、ミクロ情報が重要となります。つまり細分化されたデータです。例えば売上500万円だけであれば、売上が500万円あったとしかわかりません。しかし、それが得意先別商品別に入力されていた場合は、どの得意先にどの商品をいくら売ったのかがわかります。
さらに入力漏れも許されません。今月の売上と先月の売上では大きな判断ミスを招くことに成りかねません。例えば、前年と比較し当月は売上が好調に伸びたと判断していたところ、実は前年は計上を漏らしたために翌月に売上計上していたと笑うに笑えない話もあります。
このように管理会計のための「正しい会計処理」とは、財務会計上の「正しい会計処理」と比べますと、たいへん厳しいものです。
インプルーブ研究所に参加されている会計事務所では、このような管理会計指導を巡回監査という業務を通じて皆さまの企業経営をサポートされています。
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