171.競争優位に立つ 市場分析
2014年6月25日
第3話 市場分析
1.自社が置かれている市場分析を行なっていますか?
この問いかけにどうお答えになりますか? 「Yes」それとも「No」でしょうか・・。
市場分析をしている会社は意外と少ないようです。
しかし、一般的には中小会社はより厳しい経営環境におかれているわけですから、本当は市場分析を行なう必要があるはずです。
せめて来期を迎える決算前には、自社を取り巻く市場分析は行ないたいものです。
この市場分析の繰り返しが、経営に必要なセンスを磨いてくれます。
2.市場分析とは
では、市場分析とはどのようなものなのでしょうか? 市場分析は大きく『内部環境分析』と『外部環境分析』に大別できます。
(1)内部環境分析
内部環境分析とは、企業の経営資源は「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われますので、それに即して説明しましょう。
①ヒト
ヒト、人力の分析とは組織分析であり、また社内技術力の分析です。組織分析は『組織分析のためのフレームワーク7S』という考え方がありますので、それを参考にされると良いかと思います。技術力・スキルに関しては『経験曲線効果』という考え方がありますので、それで評価します。
②モノ
モノとは自社の製品・商品・サービスなどのことです。製品・商品・サービス等については『プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)』や『プロダクトライフサイクル』という考え方で分析します。
③カネ
カネとは自社の財務体質のことであり、財務分析や経営分析で行ないます。決算書あるいは月次試算表をもとに、『安全性、効率性、資金力、収益性、損益分岐点』などの分析を行ないます。
④情報
情報とは情報機器を含めたITの利用度、深度と考えてよいかと思います。いまやビジネスに情報機器やインターネットは必須です。さらにスモールビジネスであればあるほど、その重要度は増しています。自社のインターネットの活用、情報機器等の活用は如何ですか。受動的姿勢ではなく、積極的に取り組み姿勢が重要かと思います。
(2)外部環境分析
外部環境分析は、マクロ環境分析、競合分析、マーケット分析に分けられます。
①マクロ環境分析
マクロ環境分析の手法として『ペスト(PEST)分析』があります。ペスト分析とは、政治 Politics、経済 Economy、社会 Society、技術 Techonology の頭文字を取って、PEST分析と呼ばれています。
②競合分析
競合分析の手法としては『ファイブフォース分析』があります。ファイブフォース、5つの力とは、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力から成ります。
③マーケット分析
マーケット分析とは市場規模であったり、シェアであったり、あるいは顧客分析などです。市場規模を測ったり、シェア計算などをする場合は『フェルミ推定』を活用するといいでしょう。顧客分析を行なう場合は『パレート分析』を使うと良いでしょう。
3.それらをSWOT分析へつなげる
(1)SWOT分析とは
SWOT分析とは、競争優位を確保するための分析手法です。
上記で分析した外部環境を競争優位の観点から『機会 Opportunities』と『脅威 Threats』に、内部環境も同様に競争優位の観点から『強み Strengths』と『弱み Weaknesses』に分けます。
(2)機会と脅威はマクロ環境分析・競合分析・マーケット分析から抽出する
マクロ環境分析・競合分析・マーケット分析から、特に機会となるものと、脅威となるものを抽出します。
(3)強みと弱みはヒト・モノ・カネ・情報分析から抽出する
内部環境分析のヒト・モノ・カネ・情報分析から、特に強みとなるものと、弱みとなるものを抽出します。
(4)クロス分析へ発展させる
自社にとっての競争優位上の機会と脅威、強みと弱みの選定ができたなら、それらを活かすあるいは避ける戦略を考えます。
そのことを『クロスSWOT分析』といい、これには次の4つの考え方があります。
①「機会」を「強み」によって一層活かす戦略
②「機会」で「弱み」を解消する戦略
③「脅威」を「強み」によって最小化する戦略
④「脅威」と「弱み」による悪影響を解する戦略
もちろんこの中の最優先戦略は、①機会を強みによって、一層活かす戦略です。
今回は用語だけをずらっと並べましたが、どの程度ご存知だったでしょうか? 7割程度知っておられたなら優秀です。
さらにどの程度の用語に対してイメージが生じましたか? 半分以上イメージができている方は素晴らしいと思います。
次回からはこれら一つ一つについて、詳しく説明します。