174.競争優位に立つ PPM

2014年7月4日

第6話 内部環境モノの分析『プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)』
前回まで2回に渡って「内部環境・ヒトの分析」について説明しました。
今回からは 市場分析→内部環境分析→モノの分析 です。

 

市場分析における内部環境としてのモノの分析とは、自社の製品や商品、サービスなどの分析です。
その一つの手法が、米国ボストン・コンサルティング・グループが開発した『プロダクトポートフォリオマネジメント』という経営資源配分の考え方です。
どの製品・商品・サービスの投資を増やすのか、あるいは投資を抑え回収を図るのか、撤退を考えるのか、ということです。
プロダクトとは、製品・商品・サービスなどという意味ですが、事業分野と捉えることもできます。
ポートフォリオとは、紙挟み・札入れ・折りたたみ式の書類カバンの意味ですが、転じて安全性や収益性を考えた分散投資の組み合わせを意味します。

 

ボストン・コンサルティング・グループでは製品ライフサイクルを「市場成長率」「市場シェア」の2つから4つの象限に分け、それぞれにどのように経営資源を配分するべきかを下図のように表しました。

PPMマトリクス

 

1.問題児

『問題児』とは、市場は成長しているが、マーケットシェアが低い状態の製品・事業分野を指します。投入したばかりの製品・膠着状況の製品というイメージです。
市場の成長に対して投資が不足している製品・事業であり、積極的な追加投資を続けるのか、それとも撤退するのか、見極めなければなりません。
現状は資金流出が激しく、資金流入は少ない製品・事業で、たとえば、テレビ事業や半導体などのような事業です
やがて『花形』か『負け犬』に移っていきます

2.花形

『花形』とは、市場もマーケットシェアも高い製品・事業分野を指します。投入した製品や進出した事業のシェアはどんどん上がっているが、市場の成長に合わせた投資を続けることが必要な、激しい競争をしているイメージです。
現状は資金流出も大きいが資金流入も大きい製品・事業で、たとえば、ハイブリットカーなどがあげられます
やがて『金のなる木』にさせたい製品・事業分野です

3.金のなる木

『金のなる木』とは、市場成長率は落ちては来たが、マーケットシェアは高い状態の製品・事業分野を指します。激しい競争を勝ち抜いた製品・事業というイメージです。
大きな追加投資なしにキャッシュフローを生み出す製品・事業で、資金源として維持し投資をコントロールしなければなりません。現状は資金流出は落ち着き、資金流入が大きい製品・事業で、たとえば、サントリーのウイスキー事業などがあげられます。
やがては『負け犬』に戻っていきます。

4.負け犬

『負け犬』とは、市場成長率も落ち、マーケットシェアも低い状態の製品・事業分野を指します。製品・事業の最後の姿でもあり、投入に失敗した製品・事業の姿でもあります。将来性は低く、基本的には撤退すべき製品・事業です。
現状は資金流出も流入も小さい製品・事業で、たとえば、キリンのウイスキー事業などがあげられます
製品・事業の最後の姿でもあり、投資を失敗した製品・事業の姿でもあります

 

この『プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)』のポイントは、市場成長率とマーケットシェアで判断するということです。