180.競争優位に立つ パレート分析
2014年8月15日
第12話 外部環境・マーケット分析『パレート分析』
今回は外部環境分析のマーケット分析の手法を紹介します。
それは『パレート分析(Pareto analysis)』と呼ばれ、コスト分析手法としてはABC分析ともいいます。
パレート分析は、構成要素を大きい順に棒グラフとして並べ、その累積を折れ線グラフで表すことによって、構成要素が大きいものが、全体にどのくらい貢献しているのか、見ることができます。(下図参照)
1.パレート分析の重要性
(1)優先順位が決められる
事業において、重要なものから対処する、あるいは改善効果が大きいものから手をつけるという考え方は重要です。パレート分析は、そんな優先順位を付けるのに大いに役立ちます。
(2)改善効果の意味が推測できる
項目の順位だけでなく、累積も表示されますので、手間や時間をかけることが、どの程度意味があるのか推測しやすくなります。
(3)20対80の法則が読み取れる
一般的に「お客様上位2割で売上の8割を占める」といわれるように、パレートの法則(20対80の法則)が読み取れる場合が多くあります。
2.パレート分析の活用方法
(1)売上の改善に活用する
仮に、お客様50件中、上位5件で全売上高の75%を占めていたとします。但し、お客様の管理コストは売上高の大小に関係なく一定に発生し、経営上、無視できない金額であるとします。この場合、あなたはどう判断しますか?
25%の売上高しか占めない45件のお客様に対する管理コストを、売上高75%を占める5件のお客様に集中したほうが良いと判断できるかもしれません。おそらく45件のお客様にいくら管理コストをかけても、それで売上高が伸びることはあまり期待できません。ならば、45件分の管理コストも5件の優良なお客様にかけるほうが、売上高が伸びるかもしれないとパレート分析で判断することができます。
(2)ロングテールに活用する
ロングテールとは、売上上位20%には入らない、残り80%の商品のほうが、売上上位20%で売れる金額よりも多くなる現象のことをいいます。かんたんに言えば、よく売れる商品や上得意先はあるにはあるけれど、でもそれほど多くの売上を占めているわけではないという状況です。その場合、確かに一つ一つではそれほど売れていないが、それらに力を入れたほうがグロスとしては売上アップ効果が見込める場合があります。いわゆるニッチ戦略です。
たとえば、売り場面積や在庫スペースなど小売店とは違い、広いスペースをもつアマゾンなどのネットビジネスあるいはビバホームや東急ハンズなどは、少量多品種をアピールし消費者を集客しています。このような販売戦略を「ロングテール戦略」といいます。
このように説明すると大企業だけが展開できる事業モデルのように理解されるかもわかりませんが、スモールビジネスであっても、インターネット(仮想空間)上であれば決して不可能ではありません。あとは流通チャネルをどう構築するかの問題です。
このように分析は「経営を科学する」ことができます。経営をロジカル的にすることで、売上改善できる可能性はずいぶん上がると考えられます。何故ならば、このような経営をいままでして来なかったからです。同じことを繰り返しても結果は同じです。
であれば、いままでやって来なかったことを取り組むしかありません。
私たちは思いのほか『思い込み』の中で生活しています。ですから、多くの場合、環境適応できずに追い込まれてしまうわけです。「そんなこと、言うのはカンタンだけれど、なかなかできないよ」と思われていませんか・・?それこそが『思い込み』なのです。
しかし、かと言って、むやみやたらに行動することは無謀というものです。ですから、いままで紹介してきた分析ツールを活かし、経営をより科学することが大切だと思われませんか。
私たち、インプルーブ研究所はそんなみなさんをご支援します!