181.競争優位に立つ SWOT分析
2014年8月18日
第13話 内部環境・外部環境をまとめる『SWOT分析』
『SWOT分析』とは自社内部の「強み」と「弱み」、そして自社を取り巻く外部環境の「機会」と「脅威」、この4つの観点から自社がおかれている環境を分析する手法です。よく知られているのはここまでですが、本当はここまでは前半部分であり、後半部分があります。それは、それらを組み合わせて、戦略展開する『SWOTマトリクス』という部分です
SWOTマトリクスとは、機会を強みによっていっそう活かす戦略と、機会で弱みを解消する戦略、脅威を強みで最小化する戦略、脅威と弱みによる悪影響を避ける戦略の4つに展開されます。まず、この後段の部分をよく理解していただきたいと思います。
つまり、SWOT分析とは、分析だけで終わるのではなく、その分析を持って戦略展開する手法だということです。
1.SWOT分析でこれまでの内部分析と外部分析をまとめる
これまで、組織分析、経験曲線効果、PPM、ライフサイクル、財務分析、情報装備、PEST分析、5フォース、パレート分析等いろいろな分析の考え方を紹介してきましたが、それらで分析したことをこの『SWOT分析』でまとめます。
まとめるというと難しいようですが、要はそれらの中でも重要なものを、内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威、に分けるだけです。そうすると、明確に漏れなく、自社の強み・弱み・機会・脅威を捉えることができます。
もちろん、いきなりSWOT分析をされてもいいわけですが、前段階で、組織分析、経験曲線効果、PPM、ライフサイクル、財務分析、情報装備、PEST分析、5フォース、パレート分析などをされると、より漏れなくSWOT分析することができます。
2.対策を考える
多くの場合、分析だけをして「うちの会社にはこれだけ弱みがあるのか」など妙な納得などして終わらせていますが、それだけでは意味はありません。冒頭にも申し上げたとおり、後半戦『戦略展開』することが重要です。
(1)機会を強みによっていっそう活かす戦略
外部のさまざまな機会を自社の強みによって活かす戦略は、もちろん、自社にとって一番力を入れるべき戦略となります。ここの
戦略は一気呵成にすばやく取り組むことが大事です。
(2)機会で弱みを解消する戦略
機会を弱みで解消する戦略とは、自社のウィークポントをビジネスチャンスで補完する戦略となります。たとえば飲食業でオーガ
ニック食材を売りにしているために、どうしても価格が高めとなり、いまひとつ集客に苦労しているとします。しかし偽装問題や
食品安全問題に消費者の耳目が集まっている今、オーガニックを普通のお客様にもわかり易いように説明を試みて積極姿勢に出る
などが挙げられます。
(3)脅威を強みで最小化する戦略
外部環境の脅威を自社の強みで最小化する戦略とは、近く訪れるかもしれない経営危機を自社の強みを持って、いまから最小化し
たり、あるいはピンチをチャンスとする戦略です。たとえばガソリンスタンドは石油の高騰やハイブリッドカーの増加、さらには
燃料電池車の開発などで先行き不透明感はただならぬものがあります。そこでいまからそのような時代における対応を顧客に告知
しておくことによって、顧客の安心と信頼そして期待を得てつなぎ止め、逆に集客に転じるなどの対策が考えられます。
(4)脅威と弱みによる悪影響を回避する戦略
環境の脅威と自社の弱みによる悪影響を避ける戦略とは、直線思考では撤退方法を考える戦略となりますが、も一つはシフト戦略
を考えるということです。シフト戦略とは自社の経営資源を見直し、それを他に置き換えられないか考えます。たとえばカラオケ
店を経営していると仮定します。カラオケ店の経営資源といえば、快適な貸室であり、防音であり、マイク設備であり、軽食提供
などです。このように経営資源をバラしていくと、これら資源を少し置き換えれば、事業領域をシフトしていくことが可能となり
ます。たとえばあと少しゲームなどを加えれば、お子さんなどのパーティルームに変わったり、趣味のレンタルルームやビジネス
向けのレンタルルームなどにも転用できます。
もっとも、この4つの考え方の中で重要なのは「(1)機会を強みによっていっそう活かす戦略」であることは、あらためて言う
までもありません。
また外部環境同士「機会と脅威による戦略」、内部環境同士「強みと弱みによる戦略」は基本的にはありえません、ということも
あらためてお伝えしておきます。
これらのことを図示しますと下図のようになります。黒矢印は戦略の方向を示し、 赤矢印はあり得ない戦略を示します。
戦略を考えるにあたって、重要なことは『思い込み』を打ち破ることです。人間は思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。その結果がいまであることを忘れてはいけないと思います。だから違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
インプルーブ研究所は『思い込み』を打ち破るお手伝いをします。