185.競争優位に立つ 4つの行動

2014年9月5日

第17回 中小零細企業にとっての「ブルーオーシャン戦略」とは(3)

前回は、戦略キャンパスという手法で、同業者と異なる新たな市場創造の探り方を説明しました。
今回のテーマは、その違いを作り出す考え方です。それが『4つの行動(アクション)』と呼ばれるものです。

4つの行動とは、取り除く・減らす・増やす・つけ加えるというものですが、「取り除くと減らす」「増やすとつけ加える」、
よく似ていますね。それぞれについて、具体的に説明しましょう。

 

1.取り除く

取り除くとは、業界や自社ではそういうものだと思っているが、実際は使われていない不要な機能や期待されたいないサービスは無いか、見直すということです。 いくつか、例を示します。
 携帯電話では、富士通が高齢者向けや子供向けにおいて、不要と思われる機能を取り外し、その分、低価格で、使いやすい携帯電話を提供しています。
 QBハウスは、理髪店であれば当たり前の髭剃りや洗髪などを止め、水回りの要らない、高回転率の理髪店モデルを作り上げました。それによって、駅中や駅前の省スペースでも開店できることを可能としました。
 会計事務所では、しっかり記帳する企業に対しては、通常の企業のように手間ひまかけて仕訳チェックをする必要が無いので、それだけ低料金の顧問料を実現しています。

 

2.減らす
減らすとは、競合他社に追いつけ、追い越せと思うあまりに、製品やサービスに余計な要素を盛り込んでいないか、見直すということです。取り除くとは、どちらかといえば業界慣習的な問題点でしたが、減らすとは、競合を意識するあまりにいつしか過剰になってしまった自社だけの問題点です。いくつか、例を示します。
 電気洗濯機や電気炊飯器は、いま各メーカーが競い合って、さまざまな機能を付けた高価格製品が売れ筋ととなっていますが、本当はもう少し目的を絞り込めば、そこだけは同様の機能を持った低価格製品が実現できるのではないのでしょうか。
 会計事務所では、顧問料を下げたくないばかりに、顧問料の中で、経営計画策定支援や決算報告会を行なうところが多くなってしまったのですが、そのようなニーズがあまり無い企業までやることになった結果、顧問先は付き合わされて迷惑がり、会計事務所は仕事が増えたたため、生産性が落ちたという笑うに笑えない状況になっています。

 

3.増やす
増やすとは、逆に業界標準と比べて、大胆に増やすべき要素は無いのか、見直すということです。他社と同じことをやっていたらいいと考えるのではなく、取り除いた分、違うことをつけ加えるということです。
 先ほどの富士通は、取り除いた代わりに、ボタンを大きくし、操作をしやすくしました。
 QBハウスは、洗髪を無くした代わりに、エアウォッシャーシステムを採用しました。また櫛は顧客一人ひとりで交換するようにし、それを帰り際のプレゼントにしました。
 会計事務所は、仕訳のチェック時間が短くなったので、その分、経営者と事業について話し合うようにしました。

 

4.つけ加える
つけ加えるとは、業界ではこれまで提供されていないが、しかしつけ加えるべき要素は無いのか、検討するということです。
業界の常識は昔からの慣習であり、決して、現代のユーザーニーズをすべて捉えているとはいえません。
たとえば、お米を洗う必要がない電気炊飯器はできないのでしょうか?
たとえば、タオルと洋服を入れても糸くずがつかない電気洗濯機はできないのでしょうか?
たとえば、赤字決算企業が多い中、黒字経営アドバイスをしてくれる会計事務所はないのでしょうか?

ブルーオーシャン4つのアクション 

この4つのアクションという考え方は、私たちの事業の価値革新を促してくれます。なかでも自社の製品政策を考えるときには、
ぜひ活用したい考え方です。考え方を真似ることが、自社を新しい発想に導いてくれます。

こんなふうにしなくとても・・とは思わず、まずトライする! この精神が、いまの中小零細企業にとって大事だと思うのですが、
あなたはどう思われますか?