187.競争優位に立つ PM成長戦略
2014年9月22日
第19回 中小企業にとってのP(プロダクツ=製品)M(マーケット=市場)成長戦略
PM成長戦略、いわゆる『製品・市場成長戦略』の概要については、No.162「マーケティング 製品-市場マトリクス」という
タイトルで一度説明していますので、今回はその7つのポイントだけをご紹介します。
(製品・市場成長戦略自体についてはNo.162を参照してください。)
なお、アンゾフが提唱した『製品・市場成長戦略』とは、下図のとおりです。
ポイント1:アンゾフの製品・市場戦略はあくまでも「収益拡大モデル」である
このPM成長戦略は、「成長」という言葉が示すように、あくまでも事業の成長、収益の拡大戦略モデルです。
単に、現市場に現製品を浸透させるとか、新製品を開発するとか、新市場を開拓するとかではなく、あくまでもそれらを通じて
自社を成長・収益拡大させる戦略モデルであることを認識してください。
ポイント2:市場浸透戦略とは言い換えれば「自社の高付加価値化戦略」である
市場浸透とは、いまの顧客層の中で未だ購入していない顧客に、いまの製品、商品、サービスを販売しようという考え方ですから、これまでと同じ方法では売れませんね。そこで、提案方法や説明の仕方、サービスのあり方、あるいは顧客密着度などを考え直し、より高付加価値化を既存顧客に訴求する必要があるということを示しています。
その意味では市場浸透戦略は、製品・商品・サービスの高付加価値化戦略なのです。
ポイント3:新製品開発とは差別化戦略である
次に、いまの顧客に新しい製品を開発し販売するということは、同業者とは異なるあるいは新しい顧客ニーズに対して新しい製品を提供して収益を拡大しようという考え方です。
したがって、その意味では、差別化戦略に他なりません。
ポイント4.新市場開拓とは市場浸透と新製品開発の実績を持って市場拡大する戦略である
現製品の浸透も出来ていないようでは、新しい市場に売ることはできません。新しい市場を開拓できる条件は、市場浸透もできて、かつ新しい製品も開発できてこそ、初めて成し遂げられることです。いまの顧客を満足させられないままに、新しい市場開拓をすることは、ザルで水をすくうことと同じです。
したがって、新市場開拓とは、市場浸透と製品開発の実績を持って行なう戦略と言えます。
ポイント5:戦略の順番は決まっている
ここまでご説明するとお分かりの方もおられるかと思いますが、この4つの戦略は原則的に実行する順番が決まっています。
それは、市場浸透戦略からチャレンジし、その過程で付けた高付加価値化を新製品開発に結びつけ、そして最後に「高付加価値化×新製品開発」の実績をもって、新しい市場開拓にチャレンジするということです。
この順番を間違うとうまく行きません。またたとえうまく行ったとしても、一過性に終わってしまう危険性があります。
ポイント6:新市場開拓にはウェブ戦略が必須である
新しい市場を開拓するには、インターネットによるウェブ戦略が必須です。
ホームページやショップサイトにインターネット広告を絡めると、『新市場開拓』成功の確率はかなり引き上げることができます。これまで、中小企業にとっては大企業と比べると新市場開拓はコスト的にもかなり困難なものでしたが、インターネット出現以来、中小企業にとっても実現可能なものとなりました。インターネットを活用すると、全県域、県外、日本全国、さらには全世界より、コストをかけずに注文を取ることが可能となります。
よく「市場縮小」と言われますが、それは日本という堀の中だけの出来事です。世界は人口増と経済発展による市場拡大がまだまだ続いています。
その意味では、中小企業である私たちは、インターネットをもっと重要視し、使いこなさなければなりません。
ポイント7:多角化は結果の戦略
大企業の場合には成功して蓄えた資金と豊富な人材を元に、異なった事業領域で事業を展開し、多角化戦略を取ることは可能です。しかし、中小企業には残念ながら、そのような資金力も人材力もありません。
したがって、中小企業における多角化戦略とは、「結果の戦略」と考えてよいのではないかと思います。市場浸透を展開し、それを新製品開発に結びつけ、その実績をもとに新市場開拓に取り組み、その結果、必要あれば、分社的な多角化を展開すればよいと思います。
このPM成長戦略は非常にオーソドックスな戦略理論で、幅広い事業に活用できる考え方です。また、『収益拡大』は事業にとって避けられない永遠の課題です。収益拡大ナシには継続的な事業は成り立ちません。世間では「市場の縮小化」と、盛んに言われていますが、1社1社の中小企業にとって、現実的にはそんなことはありません。商圏やエリアさえ拡げれば、市場は大きくなります。極端なことをいえば、世界の市場は拡大してます。特に日本は、人口が拡大している東南アジア地域に隣接しかつ経済成長も著しい地域でもあります。こんなに有利なポジションいる先進国はないと言えます。そして、それを可能とするのかインターネットです。
インプルーブ研究所は経営のサポートからウェブの制作まで行なえますので、よろしければご相談ください。