191.競争優位に立つ 競争戦略(2)

2014年10月21日

第23回 ポーターの基本競争戦略(2)

今回は3つの基本競争戦略、それぞれについて説明します。

 

3.コストリーダーシップ戦略
一般的に「コストリーダシップ戦略」というと先頭切って低価格作戦を実行するように理解されがちですが、そうではありません
低価格ではなく、低コストを実現して、価格対応力を強くする戦略です。ですから、売上原価や販売費を抑え、低価格で販売しても適切な利益が稼げるし、ましてそれなりの販売価格であれば高い利益率を確保することができます。
これは経営改善の基本戦略でもあります。赤字とは、売上高よりも総費用が多い状態のことです。ですから、総費用を売上高以内に抑えれば、利益は出ます。では、総費用とは何ですか?そうです、売上原価と販売費及び一般管理費です。もう少し詳しくいうと、売上原価と人件費とその他経費です。
売上原価を抑えるためには規模の拡大や在庫管理が必要です。人件費を抑えるためには仕事のやり方を変えることと皆さんの痛みが伴う場合があります。その他経費を抑えるためには我慢とルール化が必要です。
中小企業が「コストリーダシップ戦略」を実行するためには、我慢とルール化から始め、管理力を高めるとともに仕事のやり方を変えることが基本です。

コストリーダーシップ戦略とは>>>> ①広い市場を対象とし、競争優位の軸を『コスト(逆に言えば付加価値額)』に置く。
                  ②経験曲線効果や技術革新、規模の経済性などによって実現する。

 

4.差別化戦略
「差別化戦略」とは競合他社に対して競争優位を高めことです。
具体的な行動様式はランチェスター戦略に示されているとおり、局地・接近・一対一・一点集中・陽動の5つです(No.189参照)。
さらに差別化の考え方はブルーオーシャン戦略の考え方、4つの行動(アクション・マトリックス)と6つの経路(6パス)が役立ちます。その結果を戦略キャンパスで「新たな市場創造の可能性」を確認します(No.184、185,186参照)。

差別化戦略とは>>>> ①広い市場を対象とし、競争優位の軸を『差別化』に置く。
           ②一次機能だけでなく、二次機能を強化することによって実現し易くなる。

 

5.集中化戦略
コストリーダーシップ戦略や差別化戦略は対象市場を広く想定しているので、どちらかと大企業が取れる戦略です。
「集中化戦略」は対象市場(地域・客層など)を狭くして考えますので、これが私たち中小企業が取るべく戦略となります。

集中化戦略とは>>>> ①特定の市場を対象とし『限定的』に競争優位の軸を築く戦略。コスト集中と差別化集中に分けられる。
           ②集中するセグメント(選択)の仕方によって成否が左右される。
            自社の強みが発揮できるセグメントですか?
            そのセグメントで成長性と収益性は十分ありますか?

 

 

どれが簡単かといえば、コスト集中戦略あるいはコストリーダーシップ戦略ということになります。この戦略の素晴らしいとところは自社の体質改善をしてくれることです。どういう体質改善化といえば、高収益型の企業体質にしてくれます。
この体質で差別化集中戦略または差別化戦略に挑むと、成功した暁には非常に大きな成果をもたらしてくれます。
一般的に日本の企業の収益率は低いといわれています。中でも低いのが日本の中小企業です。本来が逆にならなければいけません。
小さいからこそ高収益にならなければならないのです。中小企業の要諦は『少数・高能率・高報酬・精鋭』だと思います。
そう思われませんか?!