215.会計は会社を良くできる-5

2015年4月7日

第5回 会計のどこを見る

会計、すなわち、財務諸表(B/S・P/L)のどこを見ればよいのでしょうか。
見るべきポイントは会社の状況によっていろいろありますが、今回はそのような個別のケースは別として、標準的に見ればよい項目をご紹介します。

 

1.純資産
まず第1に見るべきところはこれまでの事業の”成果”です。事業の成果は財務諸表の『純資産』に示されています
純資産が資本金より増えているのであれば、事業は成功しているといえます。その増加度合いが成功度のバロメーターです。
純資産が資本金より減っている場合はこれまでのやり方に問題があることを示しています。事業のやり方を見直す必要があります。
また純資産がマイナスの場合、つまり債務超過の場合はこれまでの事業は理由は問わず失敗であることを示しています。早急にこれまでの事業のやり方を改め、事業を立て直す必要があります。
なお、健全な経営を遂行するためにはこの純資産、つまり自己資本は最低でも総資本の20%を占めるように経営しなければなりません。しかし理想の目標は50%であり、いずれは50%以上なるように、それを目指して経営していきます

 

2.営業利益
損益の結論は『営業利益』です。これが目標や前年などと比べてどうなのか、あるいは同業と比べてどうなのか、チェックします。営業利益は内部留保と呼ばれる家計で言えば貯金の素であり、また借入金返済や納税資金の原資です。その観点から考えれば、売上高の1割ぐらいは確保できるように経営したいものです。

 

3.売上高
売上高は営業利益の源流であり、また資金の源泉でもあります。したがって、目標や過去2~3年のトレンドの中で、あるいは同業者と比較してチェックしたいものです。売上は景気の影響を受けやすいものではありますが、しかしどのような環境においては堅実に伸ばしたいものです。目安としては少しでも増収を継続させること損益分岐点を80%以下にすることが挙げられます。
損益分岐点80%とは20%売上が落ちても収支トントンにできることを意味します。

 

4.現預金
現金・預金は手元資金であり、すぐに使える運転資金でもあります。したがってある程度の現金・預金を持つことが経営には求められます。ではどの程度あればよいのでしょうか。その指標になるが平均月次売上高であり、平均月次総費用です。多ければ多いに越したことはありませんが、それでは際限がありませんので、ともかく2~3ヶ月分程度あればよいかと思います。
逆に言えば、この程度の現預金が残せるなら、あとは設備投資や人材投資の財源として回してよいということになります。

 

まずはこの4点をしっかり押さえれば、安定した経営が行なえます。

 

 

このように月々の財務諸表で経営状況をチェックし、問題点を早期に解決していけば安定した経営を行っていくことができます。経営は勘や経験も大切ですが、このような論理的な思考を加えれば、さらに強い経営をしていけます。