229.経営技術「コアコンピタンス経営」
2015年10月12日
■コア・コンピタンス経営 -主導権を創造する経営-
『コア・コンピタンス経営(Competing for The Future)』は1996年にゲイリー・ハメルとC.K.プラハラードによって書かれた著作です。特徴は、戦略論を説くのではなく、自社の強み(コア・コンピタンス)を磨くことが提唱されてます。
1.コア・コンピタンスとは
コア・コンピタンスとは、お客様に価値をもたらす他社にはマネはできない自社の中核力スキルや技術のことを言います。端的にいえば「強み」ということになります。
企業の再構築(リエンジニアリング)や縮小(リストラクチャリング)などのコスト削減よりも収益拡大がより重要であり、コア・コンピタンスに着目するほうが将来の事業成長につながるという考え方です。
なぜなら、リエンジニアリングやリストラなどの安易な縮小論は確かにすぐに効果は出るだろうが、企業の将来の芽を摘むことにもなり、はるかに自社のコア・コンピタンスを伸ばすほうが重要であるという主張です。
2.戦略の見方を変えるためのポイント
コア・コンピタンス経営では、戦略の見方を変えるためのポイントして、次の5点を紹介しています。
(1)『強み(コア・コンピタンス)』で競争する
(2)改善や年度事業計画よりも『コア・コンピタンスを築く計画』をつくる
(3)現実的な計画よりも多少困難でも社員のやる気を引き出す『高い目標』を設定する
(4)そして、未来の市場機会を発見する『先見性』を築く
実例として、ブックオフやQBハウスなどを挙げています。
(5)あるいは、経営資源の配分よりも経営資源の相乗効果を狙い、『経営資源の制約を打破』する
実例として、ノリタケやセコム、ZFなどをが挙げています。
少し抽象的ですが、実例企業を想像すれば、言わんとしているところはイメージできるかと思います。
3.コア・コンピタンス経営とは「未来のための競争」である
そのための3つのポイントを紹介しています
(1)「過去を忘れる」こと
⇒過去を知らないメンバーだけで協議・議論をする。たとえ一人でも過去を経験した者がいれば全員が過去を経験をした気持ち
になると言っています。
(2)「未来をイメージする」こと
⇒具体的には、1.既存市場の枠を超える 2.既存のコンセプトに縛られない 3.現状の価格と性能の前提条件に挑む
4.子供のような目を持つ 5..好奇心を持つ 6.謙虚に考える 7.色々なものを組み合わせてみる 8.比喩や類似を探す
9.あまのじゃくになる 10.顧客を超える、縛られない 11.ニーズに感情移入する ことです。
(3)「戦略設計図を描く」こと
⇒ストレッチ(現実を超えてみる)とレバレッジ(これまでの資源の活用・再評価)で設計する。
4.コア・コンピタンス経営は一夜にしてならず
コア・コンピタンス経営を実現するためには、ひたすら磨き続けることが重要です。
「磨き続ける」には次の3点が大事だと言っています。
(1)常に顧客価値の視点を持つこと
(2)他社との違いを常に明確化すること
(3)自社のコア・コンピタンスをに拡げていく努力をすること
これから企業が生き伸び続けていくためには、冗費節減は必要条件ですが、それだけでは十分条件を満たすことはできません。
十分条件はやはり「収益の拡大」です。
収益の拡大なしでは、未来の人件費・原価・経費を賄い、利益を確保することはできません。
そのためにはコア・コンピタンス経営、強みを高める経営は重要だと思います。