235.会計学-1「会計とは」
2015年11月26日
今回より、会計に関する、ホンの少し専門的なコラムを開始します。
というのは、会社をコントロール(統制・管理)するためには、どうしてもある程度正統な会計知識が必要となるからです。過去のコラムと重複するところもありますが、それは「復習」とお考えください。
Ⅰ 会計とは
1.会計ってなに
会計とは、経済活動を貨幣額を用いて計数的に測定し、その結果を報告書にまとめ、利害関係者に伝えるものです。
その会計は、企業の存立目的によって、「非営利会計」と「企業会計」に大別されます。
(1)非営利会計
非営利会計とは、家計や行政機関・学校や宗教法人など「利潤追求を目的としない組織」で行われる会計のことです。目的は、金銭や物品の管理を行うことにあります。
(2)企業会計
企業会計とは、一般の会社である「利潤追求を目的とした営利組織」で行われる会計のことです。目的は、金銭や物品の管理のみならず、利益の大きさやその内容を明らかにすることにあります。
2.管理会計と財務会計
企業会計はさらに「管理会計」と「財務会計」に分けられます。
(1)管理会計
管理会計は、内部に対する報告のための会計であり、企業内部管理者(社長・役員・管理職など)に対して、企業の経済活動を測定し、その結果を伝達する会計のことです。したがって、管理会計は企業にとって内部用の非公式な会計とも云えます。経営に役立つ帳簿とか、戦略会計とか云われるものすべてが管理会計にあたります。
表現を変えれば、企業の実態を明らかにする「素顔の会計」とも言えます。
(2)財務会計
財務会計とは、企業の外部利害関係者(出資者・債権者・従業員・取引先・政府機関など)に報告するために行う会計のことです。したがって、財務会計は企業にとって外部に公表する公式な会計です。
表現を変えれば、外出用の見栄えを良くした「よそ行きの会計」とも言えます。
3.企業会計への法規制
財務会計には、「制度会計」と「法規制を受けない財務会計領域」があります。
(1)制度会計
制度会計とは、法規制を受ける会計であり、規制を受ける法律によって3種類あります。
ひとつは会社法による会計(株主・債権者・経営者の利害調整が目的です)であり、ひとつは金融商品取引法による会計(証券市場への情報提供が目的です)であり、ひとつは税法による税務会計(課税所得の計算が目的です)です。
特に中小企業の場合は会計事務所の影響もあり、そのほとんどが税務会計による会計処理をしています。
そこに会計が経営に役に立たないという大きな問題点があります。
(2)法規制を受けない財務会計領域
制度会計以外の財務会計は法規制を受けませんから、企業が自発的に実施すればよいことになります。
具体的には投資者対象に行う企業の「財務広報」があげられますが、一般的には「インベスター・リレーションズ(IR)」などと呼ばれ、各企業が自由な書式で、企業が投資者に提供したい情報を提供すればよいということになります。
今回のキーワード
企業会計
管理会計
財務会計
制度会計