238.会計学-4「複式簿記」
2015年12月13日
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『会計学』第4回目は複式簿記の仕組みを説明します。
Ⅳ 複式簿記
1 複式簿記とは
複式簿記は財務諸表を作成するための技術に過ぎません。
したがって、簿記ができることと、財務諸表が読めることとは別問題であることをまず理解してください。
※だから会計事務所の職員といえども、財務諸表を読むことはあまりできません!
複式簿記とは一つの取引を、資産・負債・収益・費用の増減に識別する作業です。
ここで『貸借対象表等式』を思い返してください。貸借対照表等式は次の通りでした。
資産-負債=純資産
つまり、純資産は資産と負債の差額ですので、日常的には仕訳は起こりません。
さらに展開すると次のようになります。
①負債を右辺に移動させると 資産=負債+純資産
②純資産を分解すると =負債+(資本+利益)
③さらに利益を分解すると =負債+資本+(収益-費用)
④費用を左辺に移動させると、最終的には次のようになります。
資産+費用=負債+資本+収益
これが複式簿記の原則です。
つまり、資産と費用の増加は左側、借方の科目となり、負債と資本と収益の増加は右側、貸方の科目となります。
減少する場合はその逆です。
これさえ理解すれば、複式簿記はできます。 かんたんですね。
2.複式簿記の構造
複式簿記は、仕訳帳を作成し、そこから元帳へ転記し、その残高を基に試算表を作成することで完成します。
それぞれを説明すると次のようになります。
(1)仕訳帳の作成
取引(資産・負債・収益・費用)の識別と発生順別に取引を一覧することです。
(2)元帳への転記
仕訳帳から項目(勘定科目)別に組み替えすることです。
(3)試算表の作成
元帳をもとにして、月次は合計残高試算表へ、決算月は決算整理仕訳を挟んで決算書へ誘導する作業です。
このように、簿記は最終的に決算書を作成することが目的となっていますので、会計事務所も試算表を経営者に説明することが少なく、会計が経営に活かされずに倒産・廃業に追い込まれる企業経営者が多くなっている遠因となっていると言われています。
今回のキーワード
貸借対象表等式 資産-負債=純資産
貸借対象表等式展開式 資産+費用=負債+資本+収益
仕訳帳
元帳
試算表