242.会計学-8「売上高と債権」
2015年12月28日
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『会計学』第8回は売上高と売上債権の説明です。
Ⅷ 売上高と売上債権
1 企業活動と財務諸表の関係
売上高と売上債権の関係をみるために、まず、企業活動と財務諸表の関係を確認してみましょう。
※こうして見ると、最終的な純利益は次の資金に回って行きますので、
企業は『黒字経営』でないと成り立たないことがよくわかります。
2 営業循環における収益の認識
(1)営業循環
営業循環とは、「仕入→生産→販売→代金回収」のことをいいます。
つまり、営業循環は販売で終わるのではなく回収で終わるのであって、回収ができないと次の営業循環に支障が出るということです。
(2)収益基準
収益基準とは、収益を認識する基準のことであり、次の3通りがあります。
①販売基準 通常の場合はすべて販売基準です。
②生産基準 建設業等の場合は生産基準となります。
③回収基準 割賦販売など、例外的な業種が回収基準となります。
3 利益計算への影響比較
では、収益基準によって、利益計算にどのような影響が生じるのでしょうか。
当然のことながら、生産基準が一番、収益認識が早くなり、次に販売基準、一番遅いのが回収基準となります。
4 収益認識基準の適用
(1)通常販売
通常販売には5種類の収益認識基準があります。
①売上割戻(リベート) 返品等による減額のことです。 [仕訳例] 売掛金 / 売上高 △999,999
②売上割引 早期支払による免除のことです。 [仕訳例] 売上値引 / 売掛金 999,999
③委託販売 委託品を販売した時点で売上高計上します。
④試用販売 得意先が試用品の買取意思を表示した時点で売上高計上します。
⑤予約販売 決算日までに引渡が完了した部分だけを売上高計上し、残額は前受金(負債)とします。
(2)工事契約
工事契約の場合は、完成基準と進行基準があります。
①工事完成基準 工事が完成した時点で一度に売上計上します。販売基準の一形態ともいえます。
②工事進行基準 工事進行度合いに応じて売上計上します。収益計上の一形態ともいえます。
(3)割賦販売
割賦販売の場合は、回収不能の可能性が高い場合に限り「回収基準」を採用することが認められていますが、そうでない場合は通常の販売基準を原則とします。
5 売上債権
(1)売上債権
売上債権とは受取手形と売掛金のことをいいます。
(2)売上債権の類似科目
売上債権と似た科目として、未入金と未収収益とがあります。
①未収金 営業以外の取引から生じたもの未回収金をいいます。
②未収収益 不動産賃貸料や金銭貸付など、契約したサービスの支払を受けていないものをいいます。
(3)受取手形
受取手形にはそのほかの形態として、手形割引と裏書譲渡があります。
①手形割引 期日前に金融機関へ持ち込み、割引料を負担して、早期に現金化した受取手形です。
②裏書譲渡 期日前に手形の裏面に署名し、支払代金として譲り渡した受取手形です。
※両者とも、その受取手形が不渡りになった場合は、割引または譲渡した者が弁償することになっています。
このことを、偶発債務といいます。
今回のキーワード
営業循環
収益基準
工事完成基準、工事進行基準
手形割引、裏書譲渡、偶発債務