243.会計学-9「棚卸と売上原価」
2016年1月2日
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『会計学』第9回は棚卸資産と売上原価の説明です。
Ⅸ 棚卸資産と売上原価
棚卸と売上原価とは、下記の計算式で表させるように、ある意味、表裏一体の関係となります。
売上原価=期首棚卸高+仕入高ー期末棚卸高
=仕入高+(期首仕入高ー期末棚卸高)
=仕入高±棚卸増減高
つまり、在庫が増えれば、仕入高から増加した在庫分を減算することになり、在庫が減れば、仕入高に減少した在庫分を加えることになります。 在庫に動きがなければ、「売上原価=仕入高」となります。
このようなことから棚卸資産が利益調整に使われるわけですが、一度、利益調整のために棚卸資産を粉飾すると、なかなか正しい状況には戻せなくなります。したがって、そのようなことを示唆されても、手を出さないようにしましょう。
1 棚卸資産の範囲
(1)棚卸資産の営業循環
まず、棚卸資産の循環について考えてみましょう。
①まず企業は現預金(あるいは掛け)で商品や材料を仕入れします。
②購入した材料は製造過程に入り、仕掛品、半製品と流れ、やがて製品となります。
③製造された製品と仕入れた商品は販売活動によって販売され、売掛金となります。
※この一連を図示すると下図のようになります。
(2)棚卸資産の範囲
そして手元に残った商品や製品、あるいは半製品・仕掛品・原材料が在庫、つまり棚卸資産となります。
これらが棚卸資産の範囲となります。
*ここでは省略しましたが、そのほかに貯蔵品もあります。
2 棚卸資産の取得原価
(1)購入の場合
①取得原価に含める範囲は、売上収益との対応関係や金額的な重要性などを考慮して決めます。たとえば、購入代金や運賃・手数料・関税・事務費・検収費・保管費などが考えられます。
②仕入値引(品質不良等による単価の切り下げ)や仕入割戻(多額購入による代金の減額)などは購入代金から差し引きします。
③ただし、仕入割引(仕入代金の早期支払に伴う支払免除)は金利の性質を有すると判断されますので、購入代金から差し引きはしないで、「営業外収益」として取り扱うのが正しい会計処理とされています。
(2)自社生産の場合
購入ではなく、自社で生産している場合は、原価計算基準で決めることとされています。
3 棚卸資産の原価配分
棚卸資産の原価配分の考え方には7つあります。
(1)個別法
宝石などの高額商品に適用される原価配分です。
(2)先入先出法 first-in first-out method(ファイフォー FIFOF)
古いものから出荷し、期末棚卸品は新しく取得したものから成るという考え方の原価配分です。
(3)後入先出法 last-in first-out method(ライフォー LIFO)
新しいものから出荷し、期末棚卸品は古く取得したものから成るという考え方の原価配分です。
ただし、国際会計基準では認められていません。
(4)総平均法
1会計期間の総平均値で考える原価配分です。
(5)移動平均法
その都度の在庫の平均値で考える原価配分です。
(6)最終仕入原価法
最終の仕入単価で計算する原価配分です。
(7)売価還元法
期末棚卸商品の売価で計算し、それに原価率を掛け合わせて、在庫金額を計算する原価配分です。
4 棚卸資産の期末評価
(1)棚卸減耗費
帳簿上の在庫金額と実地棚卸で不足分がある場合は、その不足分を「棚卸減耗費」として把握し、棚卸資産から減らします。
(2)棚卸評価損
棚卸資産の帳簿価額と時価とを比較し、低価基準で貸借対照表に計上しますが、その評価損のことを「棚卸評価損」といいます。
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