241.会計学-7「計算書類ルール」
2015年12月23日
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『会計学』第7回は損益計算書と貸借対照表の計算書類ルールについてです。
Ⅶ 損益計算書及び貸借対照表の計算書類ルール
1.損益計算書原則
損益計算書原則とは、企業会計原則の一般原則に続く、損益計算書の会計処理と表示に関する諸原則のことです。
会計処理には「現金主義」と「発生主義」があります。
(1)現金主義会計と発生主義会計
①現金主義会計1
「現金主義会計」とは、収益と費用を現金収入と現金支出として生じた時点で計上する利益計算方法のことです。
いわゆる、家計簿と同じ理屈で会計処理をします。
②発生主義会計
「発生主義会計」とは、現金収入・現金支出に関係なく、収益と費用が生じた時点で計上する利益計算方法のことです。
この方法で会計処理をすると現時点での収支状況が把握できますので、事業者としてはこの方法で会計処理をすることが好ましい
と云われています。詳しくは次の項で説明します。
(2)発生主義会計の基本原則
①対応原則
「対応原則」とは、収益と費用を対応させて計上することを指します。収益が発生したということは、必ずその前に費用が発生
しているはずです。したがって収益と費用を対応させて会計処理をすることで、常に正しい損益が把握できることになります。
対応は「個別的対応」と「期間的対応」に分けられます。
個別的対応とは、売上高とその売上原価を対応させて計上することをいいます。
期間的対応とは、広告宣伝費や賃借料あるいは支払利息など多くの費用に関する計上方法で、当期で発生した費用は翌期に繰り
越さないで、必ず当期内で処理することをいいます。そうすることで、当期損益を正しく把握できるようになります。
②発生原則
「発生原則」とは、収益と費用の計上を発生の事実に基づいて計上することを指します。特に決算月の費用については、翌月に
確定することや通知が来ることがありますが、それは期末整理として当期の決算月に計上するようにします。
③実現原則
「実現原則」とは、製造業だけに関係する原則ですが、製造等に関しては製造過程で計上するのではなく、実際に市場で取引さ
れた時点で計上することを指します。
たとえば、当期に製造をしていても、その製品が翌期に納品される場合は、その製造費用は来期に計上します。当期においては
棚卸資産に計上し、製造原価からは除くようにします。
このように損益計算(利益計算)することで、その期間での正しい損益計算あるいは利益計算ができることになります。当然のことながら、これらの原則はその時々の都合で変更するのではなく、一般原則の「継続性の原則」が求められることは言うまでもありません。
※会計事務所に任せっきりにしていると会計事務所によっては『節税指導』という名のもとに、勝手に棚卸資産を調整したり、減価
償却費を調整したりすることがありますので気を付けましょう。
2.貸借対照表原則
貸借対照表原則とは、企業会計原則の一般原則、損益計算書原則に続く最後の原則です。
(1)資産の原価と時価
資産の原価・時価には、次のようなものがあります。
①取得原価
取得原価とは、資産を取得したときの価格をいいます。
②取替原価
取替原価とは、その資産を現在、買う場合の価格をいいます。
③正味売却価額(純実現可能価額)
正味売却価額とは、現在の売る場合の資産の価格をいいます。
(2)現行の資産評価基準
有価証券や事業用の資産は次のような評価基準で評価します。
①有価証券
取得原価ではなく、時価(公正価値)で評価することが基本です。したがって、取得時期によって、評価益や評価損が出ます。
②事業用資産
原価基準が適用され取得原価で評価します。
3.会計基準の国際的統合
これからは中小企業といえども、海外へ進出することも多くなりますので、最後に国際的な会計基準の流れについてごく簡単に
ご紹介します。
国際的な会計基準は、国際会計基準(IAS)から国際財務報告基準(IFRS)へ継承され、現在はこれら両方の基準を総称
して『国際会計基準』と呼ばれています。
今回のキーワード
損益計算書原則
発生主義会計
対応原則、発生原則、実現原則
貸借対照表原則
IAS、IFRS