251.緊急コラム マイナス金利
2016年2月27日
今年(平成28年)2月16日より日本銀行は初めてマイナス金利をスタートさせました。
では、マイナス金利が私たちの事業経営にどのような影響をもたらすのか、今回はQ&A形式で特集します。
Q1 預金や住宅ローンはどうなる?
理屈の上では、銀行に預けていると預金が減り、ローンは返済が少なる事態になります。
Q2 そんなことが本当に起こるのか?
金融庁は、貸出金利や預金金利のマイナスを禁じる法規制はないと言っています。
また、専門の弁護士見解も法的には可能だということです。
すでにマイナス金利を実施ている一部のヨーロッパ諸国では、「口座維持手数料」の名目で金利を取っている金融機関もあります。
Q3 日本でもそのような動きが出てくるのか?
現時点では顧客離れを招きかねませんので、国内銀行では否定的だと見られています。
しかし、一部報道があったように(のちに当該銀行は否定したが)、一部の「大口」顧客を対象に、口座維持手数料を導入する
案も検討していると言われています。
もっともそのようにするには規定の改定が必要で、いきなり預けているお金から金利を取られるということはないようです。
Q4 預金金利がマイナスにできた方が銀行にとっては有利なのでは?
そう単純ではないということです。
なぜなら、現在の銀行システムはマイナス金利を想定していないので、マイナス金利を実施するには50億円から100億円程度のシステム改修が必要だそうです。
Q5 逆に貸出金利がマイナスになる可能性は?
個人への貸し付けは、金融機関が金利を決めるため、ゼロになることはないそうです。
しかし、企業に対する貸し付けは、基準金利の一つであるロンドン銀行間取引金利の一部がすでにマイナスになっていますので、
企業によっては計算上の金利がマイナスになる可能性もあると言われています。
Q6 貸し手が借り手に金利を支払うのか?
実際には考えにくいようです。
理由のひとつは、民法の理念から貸出金利はゼロが下限だと解釈できるからそうです。
また、借り手企業の倒産や破産の可能性もあるので、信用リスクはなくなりません。
したがって、最終的にはプラスにとどまると考えらるようです。
以上のことから、日銀がマイナス金利をスタートさせたからといっても、私たち中小企業や個人にとっては、いままで以上に利息が少なくなったり、借入利息が少し下がったりという程度の影響しかないと思われます。
しかしだからといって安穏としているわけには行きません。
マイナス金利はそれだけ経営環境が激しく変化していることを教えてくれた一例として理解すべきだと思います。
マイナス金利によって金融機関は貸し出しを増やすとも言われていましたが、実際はそれと逆の方向に行くかもわかりません。
いずれにせよ、返済しなければならないことには変わりないので、安易に借り入れを起こすという姿勢から黒字経営を続け、納税をしっかり行い、留保利益の繰越利益剰余金を積み込む経営が重要だと思います。