255.景気に負けない経営管理-4
2016年4月17日
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事業とは、自社の事業に投資を繰り返して、成長を成し遂げていくものです。
その投資の内容を表しているのが、月次試算表と決算書の貸借対照表の「資産」です。
では、その資産の状況はどのように判断すればよいのでしょうか?
多くの企業は、毎月、貸借対照表を作成しながらも、その見方を会計事務所からも教えられていないので、ただ手もとに置いているだけという場合が多いようです。そこには貸借対照表の見方を知っている会計事務所職員が少ないという実情があります。
そこで、その主な資産の判断の仕方についてわかりやすく説明して行きます。
ぜひ、毎月の貸借対照表を読みこなしながら、自社の資産状況に問題がないのかチェックをし、景気などに負けない事業経営をしていきましょう。
■景気に負けない経営管理 第4回「固定資産の判断」
1 固定資産とは
「固定資産」には建物や設備・車両・土地など多くのものがありますが、基本的には事業のために投資し、それをもとに生産性を
高めようとするものといえます。
したがって、自社の固定資産の判断として、その活用度とその調達資金の両面から判断する必要があります。
2 固定資産の活用度を判断するモノサシ 『売上高』
固定資産の活用を判断するモノサシは「売上高」です。
投資した設備等でより多くの売上高をあげられたほうが良いことは言うまでもありません。
固定資産の活用度は『年間売上高÷固定資産』で測ることができます。
では、どのくらいであれば適正なのでしょうか。
業種によって違いはあるかと思いますが、
一般的には固定資産の4倍ぐらいの年間売上高はあげなければならないと覚えておかれる良いと思います。
仮に自社で1000万円の固定資産を所有しているのであれば、4000万円程度の年間売上高ということになります。
このような考え方のことを専門的には「固定資産回転率」と呼んでいます。
回転期間で考えるのであれば、約90日ということになります。
もしこれよりも低ければ、固定資産を整理して処分を考えるか、売上高を伸ばすか考えることになります。
3 固定資産に対する調達資金を判断するモノサシ2 『自己資本』
固定資産を購入するにはお金が必要です。
調達資金を判断するには、自己資本でどの程度賄えているのかが基本です。
自己資本とは『資本金』と『繰越利益剰余金』です。つまり、『純資産』です。
固定資産を純資産と比べることによって、固定資産の購入資金の自己資金割合がわかります。
このような考え方のことを専門的には「固定比率」と呼んでいます。
もし、同額であれば固定比率は100%となり、固定資産のほうが多ければ100%超となります。
また、自己資本のほうが多ければ100%未満となります。
基本は「固定資産は自己資本内で購入する」ということであるを覚えておかれると良いと思います。
4 固定資産に対する調達資金を判断するモノサシ3 『固定負債+自己資本』
しかし現実的には、なかなか自己資金だけで固定資産を購入することはむずかしいことです。
そのような場合は銀行から長期返済の借り入れをして、固定資産を購入することになります。
長期返済の借り入れとは、固定性の負債です。つまり、『固定負債』です。
したがって、次のチェック方法は固定資産を固定負債+純資産と比べます。
この場合は必ず100%未満であることが適正の絶対条件です。
これが100%を超えているとなると、固定資産購入するために一部、短期の借り入れによって購入しているということになります。
家計でいえば、マイカーを購入するために頭金が足りず、一部カードローンから頭金を借りているようなことになりますので、
かなり無理をして固定資産を購入している状況といえます。
そのような場合には、早急に財政改善に着手しなければなりません。
このような考え方のことを専門的には「長期固定適合率」と呼んでいます。
このように財務諸表から固定資産を読みこなすと、自社の設備投資の適正度や問題点あるいは課題などがわかります。
重要なことは、モノサシはどれであってもよいわけですが、この先行き不透明で変化が早い、いまの時代は「そのようなモノサシでマネジメントしなければならない時代である」ということを経営者の皆さんが認識されることです。
現在は事業にしっかりマネジメントすることが求められている時代です。
財務諸表で自社の経営状況を管理されると、驚くほどしっかりした事業となります。ぜひ一度トライしてみてください。