257.景気に負けない経営管理-6
2016年4月29日
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事業とは、資金調達をしながら事業への投資など資金運用を繰り返し、成長させていくものです。
その資金調達と資金運用状況を示しているのが、「月次試算表」と会計期間の最終報告である「決算書」の『貸借対照表』です。
では、その「資産運用」と「資金調達」の状況は、どのように判断すればよいのでしょうか?
多くの企業は、毎月、貸借対照表を作成しながらも、その見方を会計事務所をはじめ、誰からも教えられていないので、
ただ手もとに置いているだけという場合が多いようです。
そこには貸借対照表の見方を知っている会計事務所職員が少ないという意外な事実があります。
そこで、皆さんにその主な資産と資金の実務的な判断の仕方について、わかりやすく解説します。
毎月の貸借対照表を読みこなし、自社の資産・資金状況に問題がないのかを確認され、必要な対策行っていけば、
必ず、景気などに負けない『強い事業経営』ができます。
ぜひ、『経営技術のスキル』を磨いていきましょう。
■景気に負けない経営管理 第6回「借入金の判断」
1 借入金とは
「借入金」とは、ご存じのとおり、金融機関からの借り入れです。
借入金は企業にとって、資金調達の最もポピュラーなものであり、他人資本の主たるものです。
(1)借入金は2カ所に表示されている
では、まず手元の試算表あるいは決算書を見てください。
借入金はどこに表示されていますか?
負債を見ていくと、流動負債の中に「短期借入金」という項目と固定負債の中に「長期借入金」という項目の2カ所があることに
気づかれるかと思います。
これは返済期間が短い借入金と長い借入金に分類されているわけですが、いい加減に分類しているわけではないのです。
会社の財政状況を判断するうえで、正確に分類されていなければなりません。
(2)借入金の分類のしかた
「短期借入金」とは、その会計期間内で返済しなければならない借入金が分類されています。
「長期借入金」とは、その会計期間を超えて、何年かに渡り返済する借入金が分類されています。
では、「長期借入金」の中でも、当期中に返済する部分はどうするのでしょうか。
その場合は、会計事務所が正しい表示をしているならば、流動負債の中に「1年以内返済長期借入金」という表示があり、
その中に分類されています。
少し杜撰な会計事務所であれば、「短期借入金」の中に分類されています。
まったく杜撰な会計事務所であれば「長期借入金」の中のままです。
この借入金の処理によって、依頼されている会計事務所のレベルがわかります。
これは借入金勘定科目の活用のしかたの一つとして覚えておかれると良いかと思います。
■例示
設備資金として金融機関から3000万円を借りたとします。返済額は毎月50万円、年間600万円です。
すると次のようになります。
☆しっかりした会計事務所の場合
流動負債 1年以内返済長期借入金 600万円
固定負債 長期借入金 2400万円
○少し杜撰な会計事務所の場合
流動負債 短期借入金 600万円
固定負債 長期借入金 2400万円
●杜撰な会計事務所の場合
固定負債 長期借入金 3000万円
さて、皆さまの会計事務所はどのタイプですか?
(3)借入金返済の会計処理
では、毎月の返済の会計処理はどうすればよいのでしょうか?
これは考え方ですか、毎月返済しても次月の返済額が1年以内に繰り上がってきますので、
【パターンA】 長期借入金 / 現金または預金 50万円
とされている場合が多いかもわかりません。理屈しては正しいと思います。
しかし、当社では
【パターンB】 1年以内返済長期借入金 / 現金または預金 50万円
とされることをお勧めしています。
経営者感覚では「今期あと借入返済をしなければならないのか」と知りたい場面が多々あるかと思いますが、
パターンAでは調べ直さないとわかりません。
パターンBであれば、短期借入金と1年以内返済長期借入金を見れば、一目瞭然にわかります。
ただし、決算の時に
長期借入金 / 1年以内返済長期借入金 600万円
と来期の1年以内返済長期借入金額を振リ替える必要があります。
パターンAであれば決算の時には振替処理は要りませんが、
どちらかというとパターンAは常に決算・申告を意識した財務会計的あり、パターンBは経営のための管理会計的と言えます。
では、これら自社の「借入金」の状況をどう判断すれば良いのでしょうか?
今回はちょっと長くなりましたので、ここからは次回にご説明させていただきます。 お楽しみに・・。
会計をきちんと行うことは重要なことですが、さらに重要なことは「経営に活かす」ことです。
そうすることによって経理事務を経営管理業務にまで昇華させることができます。
この先行き不透明で変化が早い現在の時代は「そのようなモノサシでマネジメントしなければならない時代である」ということを
経営者の皆さんが認識されることです。現在は事業にしっかりマネジメントすることが求められている時代です。
財務諸表で自社の経営状況を管理されると、驚くほどしっかりした事業となります。ぜひ一度トライしてみてください。