282.420万経営者にための会計2
2016年10月22日
セクション2 総資本の見方
1 総資本とは
『総資本』とは、事業で調達している「資本の出どころ」を表しています。
「資本の出どころ」は大きく分けて、2つに分けられます。
ひとつは、借りてきた資本、『負債』です。「他人資本」ともいいます。
もひとつは、自社で稼いだ資本、『純資産』です。「自己資本」ともいいます。
では、それぞれの見方を考えてみましょう。
2 負債の見方
『負債』も2つに分けられています。
ひとつは『流動負債』、もひとつは『固定負債』です。
では、その2つはどう違い、どう見ればよいのでしょうか?
(1)流動負債の意味と見方
『流動負債』とは、流動的な負債と書きますので、原則1年以内に返済する負債を指します。
原則1年以内に返済する負債とは、主に「日々の経営をするための運転資金的な資本」です。
したがって、日々の経営をするための運転的な使途と比べることが見方のポイントとなります。
■運転的な使途と比べる
日々の経営をするための運転的な使途とは『流動資産』です。
したがって、日々の経営運転資金が、日々の経営運転的な使途に使われていて、流動負債が常に返済できる目処が立っているのか
どうかを見ることは大事です。
①その一番大局的な見方が「流動比率=流動資産÷流動負債」ということになります
この比率が100%以上であれば、流動負債は常に返済目処がある使い方をされているということになります。
しかし、100%であればギリギリですので、通常はもう少し余裕をもって、最低でも120%以上、
安心したいなら200%以上が、一つの管理基準となります。
②もう少しシビアな見方が「当座比率=当座資産÷流動負債」ということになります
当座資産である現金や預金そして売上債権は、キャッシュそのものであり、また確実にキャッシュになる「使途」ですから、
これが流動負債以上あれば安心です。
通常はもう少し基準を緩めて80%であれば安心とされていますが、より堅実な経営を目指すのであれば、
やはり100%以上を目指すべき指標ととなります。
③営業活動に絞った見方が「運転資金要調高=(売上債権+棚卸資産)ー支払債務」ということになります
支払債務とは、営業活動で得た無利子の負債です。つまり、支払手形と買掛金の合計です。
そして売上債権と棚卸資産とは、営業活動のために運用使途している資産です。
したがって、売上債権と棚卸資産合計と支払債務との差額を『運転資金要調達高』といいます。
この要調達高が小さければ小さいほど、営業活動の運転資金は少なくて済むということになります。
(ここのところは大事なところなので、よく理解してください。)
④運転資金要調達高の穴埋めの見方が「手元資金要調達高倍率=(現金+預金)÷要調達高」ということになります
では、この要調達高をどうやって穴埋めしているのでしょうか?
そうで、それは『現金』と『預金』です。別名、『手元資金』ともいいます。
この手元資金が常に運転資金要調達高以上あれば安心ですが、ギリギリであれば、俗にいう「自転車操業」になります。
できればこの手元資金要調達高倍率は、2倍から3倍程度は、常に維持したいところです、
⑤この応用で日常の経営運転資金要調達状況をマネジメントする
手元資金要調達高倍率の考え方で、日常の経営運転資金の要調達状況を管理することもできます。
まず、『日常経営運転資金要調達高』を算出しましょう。
どう考えればいいのですか・・。
そうですね、「(流動資産ー現預金)-流動負債」で日常経営運転資金の要調達高が算出できますね。
それで手元資金を割れば(手元資金÷日常経営運転資金要調達高)、日常経営運転資金の要調達状況を把握することができます。
これが100%以上あればまずます安心、なければ自転車操業の色合いがあるということです。
☆ちょっと余談・・
ちなみにここまでくれば、お気付きかもわかりませんが、要調達高とは不足額のことです。
会計って、このようにやさしいことを権威づけのためか、むずしく表現しているところがあります。
そこを嚙み砕いて理解するとカンタンなのです。 何しろ、足し算・引き算の世界なのですから。
今回は負債のうちの『流動負債』の意味と見方を勉強しました。
その要点は
1.流動負債とは、日々の経営運転資金的な資本である。
2.流動負債の見方には5つある。
(1)流動比率
(2)当座比率
(3)運転資金要調達高
(4)手元資金運転資金要調達高倍率
(5)手元資金経営資金要調達高倍率 以上です。
次回はもう一つの負債、固定負債の意味と見方をご紹介します。 おたのしみに!
(次回へつづく)