296.簿記の基本 たな卸の仕訳
2017年1月27日
第4回 簿記の基本「たな卸の仕訳」を知ろう
今回はどの企業にも必要な「たな卸」の仕訳について勉強しましょう。
あなたの事業にとっても必要な仕訳ですから、ぜひ、マスターしてください。
1 たな卸の意味
「たな卸」は、なぜ、必要なのでしょうか?
それは売上原価を計算するために、必ず必要になるからです。
売上原価は次のような考え方で計算します。
売上原価 = 初めからあったモノ + 仕入れたモノ - 残ったモノ
これを会計用語の言い方に変えると次のようになります。
売上原価 = 期首たな卸高 + 期中仕入高 - 期末たな卸高
そのために、期首たな卸高と毎月月末のたな卸高そして期末たな卸高を仕訳で計上する必要があります。
2 期首のたな卸高の仕訳
会計では在庫である「たな卸資産」をすべて会社にあるのであれば、次の6種類に分けるように決められています。
①販売する目的に仕入れたモノ 商品
②販売する目的で生産したモノ 製品
③製品ではないが販売できる状態にあるモノ 半製品
④製品の材料であるモノ 原材料
⑤生産途中でまだ販売できない状態のモノ 仕掛品
⑥製品の消耗品的なモノ 貯蔵品
これら期末の残高を、期首日に「期首たな卸高」へ振り替えます。
《期首日》 期首たな卸高 / 商品
期首たな卸高 / 製品
期首たな卸高 / 半製品
期首材料たな卸高 / 原材料
期首仕掛品たな卸高 / 仕掛品
この期首たな卸高の振り替えは1回しか行いません。 ←ココガポイントデス!
3 月次のたな卸高の仕訳
そして企業では状況に応じて仕入を行い、月末にはいくらかの在庫が残ることになります。
①「商品仕入」は、商品という資産を、買掛金などの負債または現金で支払いますから、次のようになります。
《仕 入》 商品仕入高 / 買掛金あるいは現金など
材料仕入高 / 買掛金あるいは現金など
②月末になれば商品などが手元に残りますから、実地棚卸を実施して「月末たな卸高」を計上します。
月末たな卸高は、「期末たな卸高」を月末たな卸高と読み替えて計上します。
《月末日》 商品 / 期末たな卸高
製品 / 期末たな卸高
半製品 / 期末たな卸高
原材料 / 期末材料たな卸高
仕掛品 / 期末仕掛品たな卸高
この月末たな卸高の計上は毎月行います。そうしないと期中の売上原価が計算できません。 ←コレモポイントデス!
③さて、翌月を迎えました。するとどうする必要があるのでしょうか?
そうです、「月末たな卸高」を戻す必要があります。
《月初日》 期末たな卸高 / 商品
期末たな卸高 / 製品
期末たな卸高 / 半製品
期末材料たな卸高 / 原材料
期末仕掛品たな卸高 / 仕掛品
「期首たな卸高」という科目は使いません。 ←ココガポイントデス!
4 期末たな卸高の仕訳
さて、なんとか期末を迎えました。
期末にはやはり実地棚卸を実施しますね。その結果を月末と同様に計上します。
《期末日》 商品 / 期末たな卸高
製品 / 期末たな卸高
半製品 / 期末たな卸高
原材料 / 期末材料たな卸高
仕掛品 / 期末仕掛品たな卸高
これで一連の「たな卸に関する仕訳」は終わりです。
いま一度、まとめ直すと次のようになります。
①期首月は、期首日に棚卸資産を「期首たな卸高」に計上し、月末は「期末たな卸高」を利用して月末たな卸高を計上します。
②第2月から期末月までは、月初めに月末たな卸高である「期末たな卸高」を戻し、
月末は期首月と同様に「期末たな卸高」を利用して月末たな卸高を計上します。
いかがでしょうか? このように簿記・会計が少しわかってくると、自社の会計処理のおかしなところも分かりだし、
経営に活かせる月次試算表になって来ます。
本来、会計は税務署や銀行のためにではなく、このように経営に活かしていくためにあるのです・・。