8.対比する方法

2009年7月11日

今回からはいよいよ「管理会計資料」の各論です。その第1回目として「対比」について説明します。

比較管理によって予測ができる
「対比」には前年同月比較、前年同期比較、前年同日比較、移動合計比較、同業他社比較の5点あることは前回に説明したとおりです。同業他社比較を除けば、すべてが内部時系列比較です。
このうち、前年同月比較と前年同期比較を管理していれば、期首から3~4ヶ月も経てば、ほぼ正確に中間決算の損益計算書は予測できるようになります。つまり、6ヶ月という短期間なので、3~4ヶ月の趨勢で、その延長線上で中間決算が予測できるということです。ここで大切なことは「予測」で終わってはいけないということです。もしその予測値が中間目標値より低いと見込まれれば、まだ中間決算まで2~3ヶ月あるので、中間目標値達成のための打ち手を考え、それを実践するということです。逆に上回るとなれば、本決算目標達成に向けたより確実な仕掛けを講じ、さらに堅調な業績を達成できるように活動するということです。
天気予報という言葉はあっても、天気計画という言葉はありません。なぜなら、天気は人によって変えることができないからです。しかし、経営は人によって変えることはできるのです。だから「経営計画」という言葉があり、そのためにも羅針盤として企業規模に関係なく「経営計画」や「利益計画」などは立てる必要があるのです。また「人がいないから」とか「うちは規模が小さいから必要ないよ」という経営者も多くいますが、人がいないいまだからこそ、規模が小さいいまだからこそ必要なのです。規模が小さくて計画を立てられない経営者は規模が大きくなればますます計画は立てられません(実際は計画を立てない経営者の事業は規模が大きくなりませんが・・)。

Zチャート
前年同月比較、前年同期比較、移動合計比較を利用してZチャートが描けます。文字だけで説明することは難しいですが、例えば毎月100万円ずつ売上があがる会社があったとします。月次の売上は毎月100万円ですから、線グラフで描けば横一直線になります。累計の売上は、1ヶ月目100万円、2ヶ月目200万円と100万円ずつ増えていきますが、右45度の右上がり直線となります。さらに、移動合計はずっと毎月100万円ですか
ら、どの月の年間売上高も1200万円となり、上のほうで横一直線のグラフとなります。この3つをつなげば、どうなりましたか? そうです、「Z」の文字が描けます。だからZチャートと言います。
売上横ばいの企業は「Z」の文字に、売上が増加している企業は「右上がりZ」に、売上が落ちてきている企業は「左上がりZ」の文字を描きます。これによって経営業績のトレンドが上り調子なのか、下降気味なのか、自社の判定ができます。

同業他社のあれこれ
同業他社比較とは同じ業種の他社と比較するということです。しかし、実際には個別企業と比較するわけではありません。統計処理された同業他社と比較するわけです。TKC全国会に所属する会計事務所であれば、毎月の試算表で黒字企業平均、優良企業平均(黒字企業のトップ15%平均値)がされている。その他に同業他社平均、赤字企業平均、限界企業平均(赤字企業の下位15%平均値)などと比較できる。TKCの同業他社比較はTKCシステム利用企業の統計値なので、統計値が非常に新しく(中小企業庁と比較し2年新しい)、かつ同様の科目配置基準で処理されたデータが全国統計処理により使われているので、非常に数値の信頼度が高い(中小企業庁のそれはアンケート処理)。

次回は「構成比」について説明します。どうぞ、お楽しみに・・

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