301.簿記の基本 仕入の仕訳
2017年3月4日
第9回 簿記の基本「仕入の仕訳」を知ろう
前回は売上の仕訳について説明しましたが、今回はその対極にある「仕入の仕訳」についてトータル的に勉強しましょう。
以前、「たな卸の仕訳」のところで、売上原価は期首たな卸高に期中仕入高を加算して、そこから期末たな卸高を減算して求めると
説明しましたが、その流れで説明します。
1 月初に在庫を月初たな卸高に計上する
月次の売上原価を計算するためには、まず、月初たな卸高を計上する必要があります。
それには次のような仕訳をします。
期末たな卸高 / 商品
期末たな卸高 / 製品
期末たな卸高 / 半製品
期末材料たな卸高 / 原材料
期末仕掛品たな卸高 / 仕掛品
※この一連の仕訳で前月末在庫(商品等)は一旦ゼロクリアされます。
2 その月に仕入したモノを計上する
その月に仕入した商品や材料を計上します。
商品仕入高+仕入先 / 買掛金+仕入先
仮払消費税
材料仕入高+仕入先 / 買掛金+仕入先
仮払消費税
※1:商品仕入高は税抜きで管理し、債務である買掛金は税込金額となります。
差額の消費税額は資産科目である「仮払消費税」にプールされます。
※2:商品仕入高と買掛金は科目単位で管理するのではなく、仕入先単位に管理ます。
これによって、仕入先ごとの債務管理と仕入額管理ができ、
単なる経理事務ではなく、経営に役立つ会計に変革させることができます。
3 月末に月末たな卸高を計上する
月末になれば実地棚卸を行い、月末たな卸高を計上します。
商品 / 期末たな卸高
製品 / 期末たな卸高
半製品 / 期末たな卸高
原材料 / 期末材料たな卸高
仕掛品 / 期末仕掛品たな卸高
※月初と逆の仕訳を起こすことによって、月末在庫(商品等)が計上されます。
この1~3の仕訳によって、月初の在庫+月中の仕入-月末の在庫という計算で、月単位の売上原価が計算できるようになります。
4 支払った買掛金の消込
仕入先単位に計上されている買掛金を支払った場合は、仕入先ごとに消し込みを行います。
買掛金+仕入先 / 預金+口座
※1:このように買掛金は仕入先ごとに消し込みを行いますので、仕入先ごとの買掛金残高が会計で把握できるようになります。
※2:ついでに預金も口座別管理を行えば、口座別の残高管理が会計で行えるようになります。
このような会計処理をされると、毎月の試算表で詳細な経営管理が行えるようになり、経理事務は経営管理業務に発展します。
このような考え方の会計処理を『管理会計』と呼びますが、現代は会計を算盤ではなくパソコンという情報処理機器で行って
いるわけですから、ぜひ、ここまで高めたいものです。
また、このような会計処理をされると、あなたの会社をいっそう強い会社にできるようになります。 これは真実です。