307.簿記の基本 戦略経営(3)

2017年4月15日

第15回 簿記の基本「戦略的な経営に資する経理とは(3)」

前回のまとめは

 ①売掛、売上の得意先別仕訳 ②売掛、売上の税抜経理 ③売掛リスクである貸倒引当金 ④たな卸の仕訳 を紹介しました。

今回は固定資産に関する戦略的な仕訳をまとめます。

 

1 リースの仕訳

 リースは実質的にほとんど所有していることと変わりがありません。

 しかし、リース物件の背後には、必ず負債である「リース債務」が存在しています。

 きっちりした自社の財務状況を掴むためには、リースは「リース資産」として会計処理する必要があります。

(1)リース資産を取得したときの仕訳

  資金運用である固定資産の「リース資産」と、資金調達である固定負債「リース債務(長期未払金)」を計上します。

  但し、金額はリース総額ではなく、あくまでも本体価格です。

  またリース債務も、1年分は流動資産のリース債務(未払金)に、それ以外は固定負債のリース債務(長期未払金)に分けて

  計上します。

(2)月々の仕訳

 ①リース料は、リース債務の返済と支払利息の支払に分けて処理します。

 ②減価償却費も概算額を「減価償却累計額」を利用して計上します。

(3)決算時の仕訳

  一旦、月々計上した概算の減価償却費は戻し、あらためて正確な減価償却費を計上し、その分、リース資産も減少させます。

 ※詳しくは、、303.簿記の基本 リースの仕訳を参照してください。

 

2 減価償却の仕訳

 減価償却は土地を除く固定資産に対して、使用するに連れて価値が減少する分を費用として計上する経理処理です。

(1)月々の仕訳

  毎月の正確な損益を把握するためには概算減価償却費を「減価償却累計額」として計上していきます。

(2)決算時の仕訳

  毎月計上した減価償却累計額を一度戻し、正確に計算した減価償却費を固定資産科目を相手に計上しなおします。

(3)減価償却費は資金支出を伴わない費用

 ①減価償却費は費用科目ではありますが、唯一、資金支出を伴わない費用であることを理解しましょう。

 ②あくまでも計算上の費用であり、実際には現金や預金の支出を伴いません。

 ③したがって単純に言えば、もし営業利益が100万円で、減価償却費が50万円であれば、

  売上もすべて入金され、費用もすべて支払ったならば、最終的に150万円が手元に残ることになります。

 ※詳しくは、「294.簿記の基本 減価償却の仕訳」を参照してください。

  

 

このように仕訳することで、毎月の正しい固定資産、財政状況と、月次損益を把握することができるようになります。

「戦略的な経営」に資する経理にするためにも、ぜひ理解してください。