311.中小マーケティング 商品市場戦略
2017年5月13日
第2回 商品・市場による成長戦略
商品・市場による成長戦略とは、「商品」と「お客」という2元から、自社の売上を伸ばす方法を考えるということです。
経営学者アンゾフが提唱したので「アンゾフの成長マトリックス」とも呼ばれています。
要は、自社の商品を「既存商品」と「新規商品」に分け、顧客も「既存顧客」と「新規顧客」に分けて考えると
4つのマトリックスができます。
1.既存顧客と既存商品のゾーン
2.既存顧客と新規商品のゾーン
3.新規顧客と既存商品のゾーン
4.新規顧客と新規商品のゾーン
この4つのゾーンから、会社の売上を増やす方法、戦略を考えましょうということです。
以下、一つ一つについて説明します。
1 既存顧客と既存商品のゾーン
いまのお客さんに、いまの商品をさらに推進しようという考え方です。
つまり、「深堀戦略」あるいは「市場深耕戦略」という考え方です。
《ラーメン店でたとえれば・・》
いまのラーメンにトッピングメニューを増やし、さらにいまのお客様を通して、売上を増やそうというような考え方です。
この考え方には重要な点が3つあります。
①売上拡大を考える際、この考え方が、私たちにとっては「もっとも基本となる戦略だ」ということです。
これが出来ないようでは、新規商品開発も新規市場開拓もできません。
もともとの商品で常連客を引き付けられないようでは、新しい商品を作っても売れないし、新しいお客を呼ぶこともできません。
②深堀・市場深耕とは、言い換えれば「付加価値化」だということです。
いまのお客さんに同じ商品を提供し続けるだけでは、深堀・市場深耕はできません。
いままでと違ったことをしなければ引き付けられないことは自明のことですね。
さきほどの例では、それが❝トッピング❞だったわけですね。
③「値下げ」でお客さんを引き付けようとは考えない。
これは前回310.で申しあげたとおりです。
マーケティング思考は「価格以外の方法で購買意欲を喚起する」ということでしたね。
また私たち零細企業が価格競争に挑んだところで結局共倒れになるだけですし、また資金力のある大手には勝てません。
この3つ、「市場深耕が基本」「付加価値化」「非価格競争」は肝に銘じてくださいね。
2 既存顧客と新規商品のゾーン
いまのお客さんに、新しい商品を提供しようという考え方です。
つまり、「新商品開発戦略」という考え方です。
《ラーメン店でたとえれば・・》
ラーメンの他にサイドメニューを用意して、さらにいまのお客様を通して、売上を増やそうというような考え方です。
この考え方の重要な点は、市場深耕のための付加価値化の延長線上にあるということです。
たとえば、ラーメンのことを考えていたが、ラーメンのちょっとした物足りなさを補うためにサードメニュー開発に行きついた
とか、よりラーメンの健康食化を図るためにサラダメニューを充実させたとか、などです。
「新商品開発」は、市場深耕の発展系であるということです。
3.新規顧客と既存商品のゾーン
新しいお客さんやマーケットに、いまの商品を提供しようという考え方です。
つまり、「新市場開拓戦略」という考え方です。
《ラーメン店でたとえれば・・》
これまでの来店は男性客がほとんどでしたが、もっと家族連れの来店を増やして、
ラーメン食文化を一部の人たちのものから、全ての世代の食文化として成長にさせたいというような考え方です。
この考え方の重要な点は、現存の顧客満足度があって初めて「新規市場開拓」ができるということです。
したがって、一般的には第3番目の戦略となります。
「新市場開拓」は、市場深耕と新商品開発の実績があって、初めて挑める戦略と言えます。
4.新規顧客と新規商品のゾーン
これは今までと違う業界に挑む、「多角化戦略」という考え方です。
多角化経営ができれば、いろいろな業界で事業が成り立っていますので、一つの脅威で全社が影響を受けるということが
無くなりますので、より強い経営ができることになります。
《ラーメン店でたとえれば・・》
ラーメンの高みを極めたので、その高みを活かし、フレンチに進出するというような考え方です。
この考え方の重要な点は、たとえで「ラーメンの高みをフレンチに活かす」と申し上げましたが、
そのように、業界・業種は違えども自社の経営資源を活かせる業界・業種に進出するということです。
大企業には、成功して蓄えた資金と豊富な人材があり、違った事業領域で事業を展開し、多角化戦略を取ることは可能です。
しかし私たちの場合は、残念ながらそのような資金力も人材力もありませんので、
私たちにとっては「多角化戦略は結果の戦略」と、考えてよいのかもわかりません。
なお、最後にアンゾフが提唱した『商品・市場による成長戦略』のイメージ図をご紹介します。
なんとなく、お分かりいただけましたか?
ぜひ、自社の商品と市場による成長戦略を考えてみてください。
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