315.中小マーケティング 強みの検証
2017年6月10日
第4回 自社の強みの検証(戦略キャンパス)
収益拡大するための戦略を、「既存顧客市場の掘り下げ」と「既存顧客に対する新しい製品・商品・サービスの提供」、
そして「新しい顧客層の開拓」と3つの観点から考え、それを実現するために「お客さんが望んでいると思われることで、
同業者がまだ提供していない、自社であれば提供できるモノ・価値」から自社の強みを考えました。
今回は、その自社の強みを検証し、さらに強化する考え方を紹介します。それが『戦略キャンパス』という考え方です。
この考え方は「ブルー・オーシャン戦略」と呼ばれ、成熟化した現代において、経営資源が少ない中小・小規模企業にとっては
重要なヒントを与えてくれます。
1 戦略キャンパスとは
戦略キャンパスは、二つの軸から考えます。
たとえば、考えた戦略の「魅力度」を縦軸にとり、横軸には考えた戦略の他社との差別化要素である「競争要因」をとります。
すると、下図のような表組ができます。
この表上に、自社で考えた戦略の「競争要因」を書き込み、顧客から見たその魅力度の評点と同業者の評点をプロットします。
そのプロットした点を結びつけてできる折れ線が同業者と著しく異なれば異なるほど、その戦略の魅力度は高く、
新たな市場を創造できる可能性が高いことを示します。
2 戦略キャンパスの事例
少しわかりにくいかもしれませんので、事例で考えてみましょう。
よくご存知のQBハウスを例に考えてみましょう。
ランダムハウス講談社:「ブルー・オーシャン戦略」より
上図がQBハウスの『戦略キャンパス図』だと言われています。
これを見ると、QBハウスはただ安いだけではなく、不必要なものは思い切り取り去り、必要な新しい価値要素である競争要因を
付け加えて、同業者との激しい競争(レッド・オーシャン)を避け、独自の競争領域(ブルー・オーシャン)で顧客が喜ぶ価値を
つけて、利益が出る仕組みにしていることがわかります。
さらに不必要なものを取り去ったことにより、店舗面積も小さく済み、設備投資も押さえられ、出店コストを抑えることにも成功
しているようです。
戦略を考えるにあたり、理論にどおりに手順を踏むとかは、重要なことではありません。
大切なことは「業界慣習やこれまでの経験に囚われず、常に顧客の視点で、同業者がやっていないことでもやってみる!」という
マインドなのではないのでしょうか。自己限定をせずに、一方、冷静に考えてみる、そんな姿勢が大事なのだと思います。
私たちは想像以上に思い込みの中で活動をしており、他人と違うことをやることをなるべく避け、同じような考え方の中で、同じ
ようなことをやり続け、挙句の果ては、低価格化か、高コストをかけてコスト回収をできないか、という悪循環の中に、自らいる
だけなのではないのでしょうか。