317.中小マーケティング 戦略のヒント
2017年6月24日
第6回 戦略を考えるヒント -戦略のヒントはどこにある-
■これまでの「中小企業のマーケティング」コラムの流れ
第1回(No.310) 「マーケティング」は中小・小規模事業であるほど重要な経営課題である。
第2回(No.311) 収益拡大は「既存客→商品→新規顧客」の順番で考える。
第3回(No.314) 自社が提供する商品やサービスについての「強み化(バリュー・プロポジション)」の考え方。
第4回(No.315) 強み化を「戦略キャンパス」という手法で検証する。
第5回(No.316) 攻めるべき対象「ターゲットの選定」の考え方。
第6回の今回は、戦略を考えるにあたっての「経営戦略のヒントをどうやって得るのか」というのがテーマです。
実は、マーケティングにはそんな疑問に答えてくれる考え方も提示されています。
1 6つのパス(経路)
6つの経路とは、まだあまり競争者がいない市場(ブルー・オーシャンといいます)を発見するための考え方です。
これから紹介する「6つの経路」で市場を見渡してみると、まだ誰も気づいていない自社だけ市場を発見できるかもわかりません。
(1)第1の経路 代替の産業界を観察する
競争相手は同業者だけではありません。 どんな業種にも代替サービスを提供する企業が存在します。
たとえば、ラーメン店であれば同業のラーメン店だけはなく、他の飲食業も競争相手となります。
もっと視野を広げれば、中食を積極的に取り入れだしたコンビニやスーパーなども競争相手と見做すことができます。
消費者の立場から考えると、昼食を取る場合、ラーメンかカレーかなどの外食からスーパー・コンビニなどのお弁当・総菜まで、
幅広い選択肢の中から考えますよね。
ところが経営者の立場で考えていると、同業者の動向には関心を払いますが、意外とその他にはあまり関心を払いません。
しかしお客さんは、実はそのような広い選択肢からラーメン店を選んでいるのです。
代替産業を見てみるとは、そのような代替産業の狭間から『価値革新』を学び取るという意味です。
(2)第2の経路 同じ業界だけれど違った考え方をしている企業を観察する
同じ業界にあっても、違った考え方や戦略を持っている企業は数多くあります。
高級志向の企業、低価格志向の企業、回転率志向の企業など、さまざまな戦略を持っています。
同じ業界だけれど違った考え方をしている企業を観察するとは、自社とは違う戦略を持つ企業からも学び、
『価値革新』のヒントを得るという意味です。
(3)第3の経路 顧客をよく観察する
「顧客」と一括りしますが、よく観察すると、そこには、購入者・利用者・影響者など、多くの存在があることに気づかされます。
例えば、おもちゃ屋の場合、遊ぶのは子供たちですが、購入するのはは両親です。また、影響者として祖父母の存在があるかもわかりません。
ハウスメーカーであれば、利用購入者は若い夫婦かもわかりませんが、支援者あるいは影響者として両親の存在が在ったりします。
しかし、業界として俯瞰してみると、意外と同じ顧客に焦点を合わせている場合が多いという指摘です。
玩具店であれば“子供たち”、ハウスメーカーであれば”若い夫婦”というような状況です。
顧客をよく観察するとは、そこをこれまでの思い込みではないかと疑い、いま一度、顧客を見直して、『価値革新』のヒントを得る
という意味です。
(4)第4の経路 関係する業界を観察してみる
いろいろな商品やサービスは、組合せをして利用される場合が多くあります。
例えば、家具を購入する場合、家具そのものだけで判断されるのではなく、部屋との調和性や家族構成などにも影響されます。
関係する業界を観察してみるとは、そのような補完財や補完サービスをも見渡し、『価値革新』のヒントを得るという意味です。
(5)第5の経路 発想の転換をしてみる
ときには業界の常識や自社の常識を逆転してみるとことも大事です。
例えば、時計のスウォッチは機能思考が強かった業界に対して、感性志向のファッション性を時計業界に持ち込みました。
さらには最近ではブランド化も図り出しています。
また、この逆の発想をしていると言われているのがQBハウスです。それまでの理容業界はどちらかといえば感性志向でした。
ちょっと散髪に行けば、オシャレ度をあげるというような雰囲気がありました。
それをQBハウスは徹底的に機能志向に切り替え、低コストと短時間化を実現しました。
発想を転換してみるとは、いままでとは違うアングルから業界・自社を見直して、『価値革新』のヒントを得るという意味です。
(6)第6の経路 近未来を想像してみる
もちろんどのような業界であっても、時代の流れの中で、外部環境からの影響を受けています。
したがって、その流れ・トレンドを捉えなくてはなりません。
これは流行を予測するということではなく、「今後、顧客嗜好はどう変わるか」、「自社の事業にどう影響を与えるか」ということ
を考えることです。
これは将来を読むこと、当てることが重要なのではなく、考えること自体が変化に対応できる態勢を常にもつことになるという意味です。
以上のことを、ふつうの経営思考とブルー・オーシャンの経営思考と命名し対比してみると、次のようになります。
少し難しいかもわかりませんが、あまり言葉にはとらわれずに、感覚的にこの「6つの経路」で、自社の市場を見直してみれば
どうでしょうか。 意外と、新しい発想ができるかもわかりません。
現在は漠然と商売・仕事をしていれば売れる時代ではありません。それが高度成長後の現代、成熟社会です。
ぜひ、自社が提供できる価値とお客さんが望んでいる潜在的価値を考えて、さらなる発展を目指しましょう。
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