319.中小マーケティング 戦術の肝
2017年7月8日
第8回 戦略の肝 -商品・価格・販売ルート・販売促進政策-
■これまでの「中小企業のマーケティング」コラム
第1回(No.310) 「マーケティング」は中小・小規模事業であるほど重要な経営課題である
第2回(No.311) 収益拡大はアンゾフ成長戦略「既存客→商品→新規顧客」の順番で考える
第3回(No.314) 自社が提供する商品やサービスについての「強み化(バリュー・プロポジション)」の考え方
第4回(No.315) 強み化を「戦略キャンパス」という手法で検証する。
第5回(No.316) 攻めるべき対象「ターゲットの選定」の考え方
第6回(No.317) 戦略を考えるヒント「6つのパス」の見つけ方
第7回(No.318) 同業者との違いを際立たせた戦略にする「4つのアクション」
第8回の今回は「具体的な戦略の肝、外すことができない、取扱商品・提供価格・販売ルート・販売促進政策」がテーマです。
経営の方針とも言える「戦略」が決まってくると、次に考えなくてはならないのが、その具体策である「戦術」です。
マーケティングでは、そんな戦術の肝についても考え方を導いてくれます。
それは「マーケティング・ミックス」とか「4P」と呼ばれています。
では、早速、説明しましょう。
1 マーケティング・ミックスとは
具体的な戦術を考える場合、つぎの4点を外してはならないと言われています。
その4点とは、「Product」「 Price」「 Place」「Promotion」です。
このことを「マーケティング・ミックス」、あるいはそれぞれ頭文字のPをとって「4P」と呼んでいます。
日本語で訳し直せば、
プロダクトとは、自社の取扱商品やサービス、あるいは製品のことです。
プライスとは、その提供価格であり、料金であり、販売価格です。
プレイスとは、店舗の場所であったり、その流通の経路であったり、あるいは販売の経路などです。
プロモーションとは、販売促進活動であったり、広告宣伝であったり、あるいは店内レイアウトなども含みます。
それぞれ、業種・業態でいろいろと変わりますが、4Pとはそんな概念のことだと理解してください。
では、順を追って具体的に説明します。
(1)Product 自社の取扱商品、サービス、製品
お客さまに提供する商品やサービス、製品の企画や開発をする活動です。『製品戦略』とも呼ばれています。
具体的には、選定したターゲット市場にどのような商品や製品・サービスを、仕入あるいは製造・開発をするのか。
そしてその機能は? 品質は? 納期は? 独創性は?などを考えます。
顧客の視点からは『顧客価値』として映ります。
特に中小・小規模事業者でなされていないことは、この前提となる「ターゲットの選定」です。
これによって、品揃えや機能や品質やすべてのことが違ってきます。
よく言われることは「売れることが大切だ」ということですが、ここをおろそかにしている事業者はほとんどが価格競争に陥り、
低利益率商売をされています。
ターゲット選定の重要性は、当たるか当たらないかではなく、選定することで戦略の変更ができるということです。
仮説があるからこそ、路線変更ができるのです。仮説がなければ、どう路線変更すればよいのかわかりません。
(2)Price 提供価格、料金、販売価格
お客さまに魅力的な価格を設定する活動です。『価格戦略』とも呼ばれています。
具体的には、価値観が感じられる価格か、あるいは同業者に対して競争力のある価格か、また充分採算が取れる価格か、
さらには決済方法なども考えます。
この場合、コストを全部原価方式ではなく、直接原価方式で考えると、柔軟な価格政策が取れます。
顧客の視点からは『顧客コスト』として映ります。
これもターゲット選定によって大きく左右されます。
たとえば、会計ソフトの場合であれば、大企業を対象にするのであれば、ある程度高額にしないと売れません。
小規模企業、個人自営者を狙うのであれば安くしないと売れません。
(3)Place 店舗場所、流通経路、販売経路
お客様までに届ける流通やその組織化、あるいは店舗の立地などを考える活動です。『流通戦略』とも呼ばれています。
具体的には、どういう経路を通じて販売するのか、流通業者とのアライアンスはできないのか、顧客の囲い込みはできないのか
など考えます。
顧客の視点からは『利便性(コンビニエンス)』として映ります。
いまコンビニ業界では、セブンイレブンは市街地であっても結構ゆったりとした駐車場を確保しています。
ファミリーマートは中食や喫煙ルームに力を入れています。ローソンは健康志向としてナチュラルローソンを、生鮮コンビニとして
ローソンストア100など多様化しています。
これらはそれぞれがどういうターゲット選定をし、どういう利便性を実現しようとしているのか、その表れです。
私たち、中小・小規模事業者もそのようなことを考える必要性があります。
(4)Promotion 販売促進活動
お客様に商品や製品・サービスを知らせ、需要を喚起させる活動です。『プロモーション戦略』とも呼ばれています。
具体的には、特長を伝えるキャッチコピーを考案したり、広告宣伝の仕方を考えたり、パブリシティあるいはブランディングなどを
考えます。もちろん、現代ではインターネットの活用も大変重要です。
顧客の視点からは『コミュニケーション』として映ります。
マーケティング・ミックス(4P)で戦術を考えることによって、戦術の漏れと重複はさけることができます。
あとは重要なことは、4Pの中でどれを最優先事項として取り上げるかということです。
ぜひ、このような観点からあなたの事業を見直してみませんか? きっとこれまでにはなかった世界が広がっていきますよ!
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