321.中小マーケティング トップの役割

2017年7月22日

第10回 トップの役割とは

 

■これまでの「中小企業のマーケティング」コラム

 第1回(No.310) 「マーケティング」は中小・小規模事業であるほど重要な経営課題である

 第2回(No.311) 収益拡大はアンゾフ成長戦略「既存客→商品→新規顧客」の順番で考える

 第3回(No.314) 自社が提供する商品やサービスについての強みを考える「バリュー・プロポジション」

 第4回(No.315) 強み化を「戦略キャンパス」という手法で検証する

 第5回(No.316) 攻めるべき対象「ターゲットの選定」の考え方

 第6回(No.317) 戦略を考えるヒント「6つのパス」の見つけ方

 第7回(No.318) 同業者との違いを際立たせた戦略にする「4つのアクション」

 第8回(No.319) 戦略立案から外せない戦略の肝「マーケティング・ミックス(4P)」

 第9回(No.320) 戦略を達成させるマネジメント「PDCA」

 

さて、第10回の今回は「中小企業のマーケティング」の最後となります。

最後はやはり「トップの役割」です。

会社経営が良くなるも悪くなるも、さまざまな原因・要因があるわけですが、やはり最終的には経営者の手腕であり、力量です。

経営者の手腕・力量次第で、事業は生き残り、あるいはまた終焉を迎えます。

そこで、マネジメント・マーケティングの大家であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーに「トップの役割」について

学びたいと思います。

 

1 トップの役割

(1)事業の目的を考える

  自社の事業は何であり、また何であるべきか。

(2)組織全体の行動規範を設定する

  商売はただ売れればいい、儲かればいいというものではありません。そこには必ず社会貢献性や社会価値があり、

  それが従業員のやる気やこころざしになり、顧客満足・顧客価値・差別化の源泉になるということです。

(3)快活な組織風土を育んで人材を育てる

  「企業は人なり」と言いますが、ドラッカーはそのためには「企業は経営者なり」と言わんとしています。

(4)対外関係ならびに社会的責任の確立と維持をする

  お客さまや取引先、あるいは金融機関などとの友好な関係構築や維持もトップだけが築けるものと言っています。

  さらに環境問題や雇用問題、納税、働き方など社会的な責任に対する姿勢もトップの課題であると言っています。

(5)儀式的な役割の遂行

  取引先との接待、冠婚葬祭あるいは公的行事への参加など、当然のことながらトップには会社を代表する役割があります。

(6)あらゆることに対するピンチヒッターとしての役割

  企業にはいろいろな危機やピンチが訪れます。

  そんなとき、トップはどこにいても駆けつけ、先頭に立って対処しなければならないと言っています。

  社員のせいにしたり逃げずに、ドンと受け止め、一生懸命に対処しろということですね。

 

 トップの役割はなかなか大変ですが、そんな中で二つの切り替えを助言しています。

①トップメンバーになったら、それまで担当していた現場業務から手を引くべきである。

②もし今までトップがやっていた仕事をたまたま誰かがやれたなら、それはもはやトップの仕事ではないので委譲する。

 

    なかなかマネジメントはむずかしいものですが、これらのことを頭の片隅にでも置かれて仕事をされ続けると、

    きっと、いままでとは違う展開が拓けると思います。

 

最後に、大きな示唆を与えてくれるだろう100年企業「ビジョナリー・カンパニー」に学ぶ、十二の崩れた神話をご紹介します。

2 十二の崩れた神話

(1)すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイデアが必要である

    →素晴らしいアイデアを持って短期的な成功を勝ち取ることも大切だが、重要なのは長距離レースで勝つことだ。

(2)ビジョナリー・カンパニーにはビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である

    →カリスマ的な指導者になる必要はなく、長く続く組織をつくる指導者をめざすべきだ。

(3)特に成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている

    →利益の追求は事業にとって重要な目標だが、それは一つの目標に過ぎず、基本的価値観の追求がもっと重要な目標だ。

(4)ビジョナリー・カンパニーには共通した正しい基本的価値観がある

    →共通する正解の基本的価値観や理念とはなく、大切なことは「自社の基本的価値感は何か!?」を突き詰める姿勢だ。

(5)変わらない点は変わり続けることだけである

    →変わってはいけないものもあり、基本理念を守って行こうとすることが環境に適応できる組織にさせる。

(6)優良企業は危険を冒さない

    →実現可能な目標では保守的になり、社運を賭けるような大胆な目標にチャレンジするからこそ組織を活性させる。

(7)ビジョナリー・カンパニーは誰にとってもすばらしい職場である

    →会社の基本理念がと合う人にとっては居心地のいい職場だが、そうでない人にとっては必ずしもそうではない。

(8)大きく成功している企業は綿密で複雑な戦略を立てて最善の動きをとる

    →考えることばかりやっていないで、ともかくやってみる。すると最善のものが生まれてくる。

(9)根本的な変化を促すためには社外からCEOを迎えるべきだ

    →根本的な変化と斬新なアイデアは社内からこそ生まれるもので、だから社内人材を育成することが大切。

(10)もっとも成功している企業は競争に勝つことを第一に考えている

    →競争すべきは他社ではなく、自社自身であり、つねに自らに勝つこと考え続ける。

(11)二つの相反することは同時に獲得することはできない

    →どちらかをやるという二者択一ではなく、同時に追求する(ANDの才能)という考え方をする。

(12)ビジョナリー・カンパニーになるには主に経営者が先見的な発言をしているからだ

    →そのような発言をすることは一歩にはなり得るが、それよりも試行錯誤することが大切だ。

 

 

現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば事業が継続できる時代ではありません。

それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。

ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。

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