325.380万中小企業のT/B④

2017年8月18日

第4回 P/L(損益計算書)の読み方・見方

第4回の「380万の中小・小規模企業にとってのT/B(試算表)の読み方・見方」は、P/Lです。

 

1 損益計算書は「当月までの会社営業成績を表す」

損益計算書は当月までの会社の営業成績を表しています。

営業成績は日々刻々変わってきますので、少なくとも月初には前月の損益が見られるようにしておかなければなりません。

では、どこをポイントに見ればよいのでしょうか?

 

(1)重要なのは「利益の源泉」と「3つの利益」

一般書籍では「5つの利益」という説明がありますが、実務で重要なのは「利益の源泉」と「3つの利益」です。

利益の源泉とは「売上高」のことです。 適切な売上高がないと利益は確保できません。

3つの利益とは、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」のことです。

以前はこの中でも経常利益が一番重要であるかのように言われていましたが、

現代では「売上総利益」と「営業利益」が重要です。

経営環境が厳しい中、本業ベースの利益である「営業利益」は特に重要です。

 

(2)売上総利益とは

売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた後の利益のことを云います。

粗利益と考えて良いかと思います。

この売上総利益が販管費を賄う力となります。

売上総利益は「利益率」の管理も大切ですが、

成熟化している経済環境においてはそう簡単には利益率を維持することはできませんので、いまは実額管理がより重要です。

この利益で販管費の人件費(役員報酬や社員給与、あるいは賞与、社会保険料など)とその他経費を賄うことになります。

これから給料も社会保険料もますます増えていきますので、事業の付加価値額である売上総利益の管理は

自社の黒字経営を大きく左右します。

 

(3)営業利益とは

営業利益とは、売上総利益から販管費の人件費と経費を差し引いた後の利益のことを云います。

つまり、本業ベースの利益と言えます。

この営業利益が売上高に対して10%以上確保できないと、

支払利息や法人税等の支払い、さらには借入金の返済と適切な内部留保は出来ません。

ぜひ、売上高営業利益率は「10%以上」と覚え、経営をコントロールしましょう。

人件費はますます増加していきますので、人件費以外の経費の無駄を失くすことが営業利益確保のポイントです。

 

(4)経常利益とは

経常利益とは事業として経常的に残せる利益という意味で、営業利益から営業外収益と費用を加減した後の利益のことを云います。

一般的には、金融費用負担後の事業ベースの最終利益と言えます。

この経常利益は、やはり売上高に対して10%程度は残せないと、

これで法人税等の支払い、さらには借入金の返済と内部留保は出来ません。

ぜひ、「売上高経常利益率も10%」と覚えましょう。

 

2 営業成績の改善方法は3つ

いま、中小・小規模企業の赤字経営割合は66%(※)と言われています。           ※正確には累積赤字企業です。

バブル崩壊以前は半数以上が黒字経営だったことを思えば、

アベノミクスで経営環境は改善していると言われても、ピンとは来ません。

とは言え、事業を継続させていくためには「黒字経営」が大前提です。

その基本的な処方箋を紹介します。

 

(1)人件費以外の固定費はできるだけ削減する

人件費以外の固定費を削減すれば削減しただけ、黒字化に近づきます。

しかし、一方、人件費は最低賃金の上昇や働き方改革の中で高騰化は避けられません。

そう考えると、経費の削減には限界がありますので、最終的には業種を問わず「価値経営」への切り替えが求められます

 

(2)売上原価は抑える

売上原価を下げれば、その分、売上総利益が増えます。

売上総利益は会社にとっての可処分所得ですから、暮らし(経営)はラクになります。

そのためには余分な仕入れはしない「原価の節約」と、在庫をしっかり管理して「原価の無駄を抑える」ことが重要です。

 

(3)販売価格を工夫する

販売価格を上げれば、その分、売上総利益が増えます。

とは言え、従来の商品や製品、サービスなどを値上げすることはむずかしいものです。

そこで「工夫」です!

新しい商品や製品、サービスを提供し、それに関しては価格を見直して売上総利益率を高めます。

それをやるのは、中小の場合は社長あなたです。考えるのも、社長あなたです。

周囲に任せず、社長自身がリーダーシップを発揮し、自分で考え、自分でやらなければなりません。

それが中小企業です。

 

 

現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば事業が継続できる時代ではありません。

それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。

ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。

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